高浜原発、核燃料倉庫で非常事態
AFP 2015/ Kazuhiro Nogi日本
2015年12月26日 22:06(アップデート 2015年12月26日 22:07)
日本で原発の原子炉への核燃料の運び入れの際に非常事態が起こった。核燃料の扉が運び入れのためのコンテナーにひっかかり、非常用ブザーが作動した。事件が起きたのは使用済み燃料保管庫内部で、この結果、問題解決までにすべての作業が6時間にわたって停止された。
非常事態の起きた高浜原発第3、第4原子炉は今年4月すでに県の地方裁判所の決定で災害時に住民に危害を与える恐れあがるとして停止されている。原子力規制委員会側は同原子炉は福島第一原発事故以来導入された新安全基準に照らしても脅威をもたらしていないと判断したにもかかわらず、停止の決定が取られていた。
ところがその後、福井地裁は第3第4原子炉の再稼動を禁ずるこれまでの決定を取り除いた。これにより2016年1月ないしは2月にも原子炉は全出力での稼動にいたるものと考えられている。国、および県知事から取得せねばならない必要な許可書はすでに受け取っている。
関電のホームページを見に行ってみました(普通に見たら、気がつかないような載せ方です↓)
関西電力

関西電力 プレスリリース
高浜発電所3号機の燃料装荷状況について
2015年12月26日 関西電力株式会社
高浜発電所3号機の燃料装荷状況について、以下のとおりお知らせします。
1.燃料装荷状況 (16時現在)
・高浜発電所 3号機
燃料装荷作業 44体/157体
(平成27年12月25日16時~平成27年12月26日16時)
2.その他
・燃料移送作業の一時中断について
昨日23時15分頃、使用済燃料ピットにおいて、20体目の燃料集合体を燃料移送コンテナに吊り降ろす際、燃料集合体下部ノズルと燃料移送コンテナの接触により、クレーンにかかる荷重が一時的に低下したため、「燃料取扱室内燃料落下」の警報が発信しましたが、直ちに燃料集合体の保持状況に異常のないことを確認しました。
また当該燃料集合体について、外観点検を行い、本日5時47分に装荷作業を再開しています。
なお、工程への影響はありません。
以 上
高浜原発の燃料装填、警報鳴り一時中断 異常なし、再開
2015年12月26日 22時17分 中日新聞
核燃料の装填が始まった福井県高浜町の関西電力高浜原発3号機で、25日午後11時15分ごろ、警報が鳴るトラブルがあった。関電は「燃料や工程への影響はない」としている。
関電によると、使用済み核燃料ピットから20体目の燃料を取り出し、移送管につり下ろす際、燃料の下部が移送管上部に接触。クレーンの荷重が一時的に低下したため警報が鳴った。燃料に異常がないことを確認し、26日午前5時50分ごろ作業を再開した。同日午後4時時点で、燃料157体のうち44体を装填した。
高浜原発3号機 きょう核燃料入れる作業開始
2015年12月25日 4時20分 NHK
福井県にある高浜原子力発電所の3号機と4号機について、裁判所が再稼働を認める判断を示したことを受けて、関西電力は、まず3号機の来月下旬の再稼働を目指して、25日午後から原子炉に核燃料を入れる作業を始めます。
高浜原発3号機と4号機を巡っては、ことし4月に福井地方裁判所が出した再稼働を認めない仮処分の決定に関西電力が異議を申し立て、別の裁判長が審理した結果、24日に福井地裁は再稼働を認める判断を示しました。
再稼働にはすでに地元の高浜町と福井県が同意していて、裁判所の判断を受けて関西電力は、検査が先行している3号機で、25日午後4時ごろから原子炉に核燃料を入れる作業を始めます。
原子炉建屋の隣の建物の燃料プールから、プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料24体を含む157体の燃料を、クレーンなどを使って1体ずつ原子炉に入れ、今月29日までに終える予定です。
高浜原発3号機の原子炉に燃料を入れるのはおよそ3年9か月ぶりで、関西電力は慎重に作業を進めるとしています。原子炉に燃料が入れられると、再稼働に向けた準備は最終段階に入り、関西電力は、安全上重要な設備の検査などをへて、来月下旬に3号機を再稼働させる計画です。
新しい規制基準の下では、ことし8月から順次再稼働した川内原発の2基に次いで3基目となる見通しで、関西電力は4号機も2月下旬に再稼働させるとしています。
核燃料入れる計画概要 一部はMOX燃料
関西電力は25日から今月29日までに高浜原発3号機の原子炉に157体の核燃料を入れる計画です。燃料は、原子炉建屋の隣の建物の燃料プールに保管されていて、クレーンなどを使い水中を移動させて原子炉に入れていきます。
燃料1体を移動させるのに30分ほどかかります。初日の25日は13体、2日目から4日目までは44体ずつ、最終日は12体を入れる予定だとしていますが、13人ずつ3つの班を組んで24時間体制で作業に当たり、早めに終わる可能性もあるということです。
燃料のうち24体は、使用済み燃料から取り出したプルトニウムを混ぜたMOX燃料が使われ、25日は1体入れられます。MOX燃料は、通常のウラン燃料と比べて発熱量が多いほか、仮に冷却できなくなると、より低い温度で溶け始めるという特性がありますが、原子力規制委員会は、MOX燃料を含め、燃料が溶けるなどの重大事故を防ぐための対策を審査を通じて確認したとしています。
新しい規制基準の審査に合格した原発で、MOX燃料が入れられるのはこれが初めてで、関西電力は「MOX燃料と通常の燃料とで、作業に違いはない」としたうえで、「安全最優先で慎重に作業を行う」としています。
高浜原発の再稼働認める 福井地裁、仮処分取り消し
2015/12/24 14:06 (2015/12/24 15:07更新) 日本経済新聞
関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)をめぐり、福井地裁(林潤裁判長)は24日、再稼働の差し止めを命じた同地裁の4月の仮処分決定を取り消した。関電が差し止めを命じた仮処分決定に対し、異議を申し立てていた。同原発は原子力規制委員会の安全審査に合格し、地元の知事や町長らの同意も得ており、関電は早ければ来年1月中の再稼働を目指す。
高浜原発再稼働を認める判断が出され、垂れ幕を掲げる弁護士ら(24日午後、福井地裁前)
また、同地裁(林潤裁判長)は同日、関電大飯原発3、4号機(同県おおい町)に対し、周辺住民らが求めていた再稼働差し止めの仮処分の申し立ても却下する決定をした。
林裁判長は決定理由で、原子力規制委員会の新規制基準に基づく判断は「不合理な点はなく、高浜原発3、4号機の安全性に欠ける点はない」と判断。「(周辺住民らの)人格権を侵害する具体的危険は認められない」と結論付けた。
同裁判長は大飯原発については「規制委の審査が継続中で、再稼働が差し迫っているとはいえない」として仮処分の必要性がないとした。
住民側の弁護団は同日、決定を不服とし、高浜原発については名古屋高裁に抗告する方針を示した。
福井地裁の樋口英明裁判長(当時)は4月、高浜原発3、4号機について、関電が想定する基準地震動を超える地震で過酷事故に陥る危険性があるとして、新規制基準を事実上否定し、再稼働差し止めを命じた。このため関電が同地裁に異議を申し立てていた。
規制委は高浜原発3、4号機について、再稼働に向けた合格証にあたる「審査書」を決定している。福井県の西川一誠知事も22日、再稼働に同意を表明した。
規制委の新規制基準の審査に合格した原発では九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)が再稼働している。
<高浜原発3、4号機>NOからYESへ…8カ月で大転換
毎日新聞 12月24日(木)21時29分配信
関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を認めた24日の福井地裁の判断は、運転差し止めを命じた4月の仮処分決定とは180度、異なる結論となった。わずか8カ月で判断を変えたのは、国や電力会社が事故リスクを「ゼロ」にするよう目指すべきなのか、「起こりうる」前提で安全対策を講じる姿勢を評価するのかといった、リスクの解釈の違いだった。一方、事故時の住民避難などについては「重層的な対策を講じるべきだ」とし、国に注文を付けた。
【関西電力が想定する高浜原発再稼働のスケジュール】
関電は来年1月以降、高浜3、4号機を再稼働させる方針だが、原発の安全性をめぐる争いは今後、名古屋高裁金沢支部に舞台を移して継続される。
「事故に向き合う姿勢の違いが、司法判断の違いになった」。九州大の吉岡斉教授はこう話し、今回の地裁決定を批判。原発の新規制基準を作った原子力規制庁の担当者は「当事者ではなくコメントできない」と話した。
今回の決定はA4判で225ページで、46ページの仮処分決定(4月14日)の約5倍に及んだ。争点の一つは、将来、原発に到来する揺れの大きさを示す「基準地震動」だ。仮処分決定は「楽観的見通しに過ぎない」と批判したが、今回の異議審決定は、争点の中でも最も多い44ページを費やして異なる見解を示した。
異議審決定は、基準地震動を超える地震が起きる確率を「1万~10万年に1回程度という極めて低い数値」とし、想定の合理性を認定。「最新の科学的、技術的知見に照らして算定された基準地震動であり、原発の耐震安全性を確保するための基準として信頼に足る」と評価した。
新規制基準については、仮処分決定が「緩やかに過ぎ、適合しても原発の安全性は確保されていない」と指摘したのに対し、▽最新の科学的・技術的知見に基づく安全性確保▽原子力規制委が中立公正な立場で審査--の枠組みが機能していることを条件に合理性が認められるとした。
事故リスクのとらえ方も大きく変わった。今回は「社会通念上、無視し得る程度にまで管理されているか」との観点で判断し、「深刻な災害の恐れが万が一にもないといえるような厳格な内容」を新規制基準に求めた仮処分決定を覆した。【堀江拓哉】
林潤裁判長

福井地裁の林潤裁判長経歴は 関電異議、5月審尋から担当
2015年12月25日 09:16 福井新聞
林潤裁判長
関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を認める決定を出した林潤裁判長(46)は4月、福井地裁に着任した。同地裁で初めて裁判長として審理できる部総括判事を務めている。
宮城県出身。1997年に東京地裁で判事補に任官。福岡高裁宮崎支部、大阪地裁などを経た。高浜原発の2基の運転差し止め仮処分決定を不服とし、関電が申し立てた異議の審理では、5月の第1回審尋から担当した。
また、福井県内の原発事故を想定し、滋賀県が作った放射性物質拡散予測図の一部の開示を市民団体が求めた訴訟も指揮。9月の判決で請求を棄却した。
高浜原発 「再稼働認めない」仮処分決定
決定分要旨
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