1「国土の破壊のさらなる破壊」★美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋哲氏(文字起こし)



福島への思い★美味しんぼ「鼻血問題」に答える【対談】雁屋哲×西尾正道

2015年12月23日 UPLAN【前半・講演】

文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/lFmzea9a9BM?t=5m2s
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今、福島の代弁をすることはできないと担当の方が言ったけれども、福島の代弁をするわけじゃないけれど、僕が福島県人だったらどう考えるかな、という感じでお話ししたいと思います。

私が福島のことについて考えている大前提というものは、いまみんなが「福島の復興復興」ということで言われていますけれども、私はまず第一に、我々も福島のことを考えて行動しなければいけないのは、土地の復興ではなくて人間の復興をしなければならない
それを第一に考えていかなければならないと思っています。
土地をいくら復興するって言ったって、その土地自体が色々と問題を抱えているのをこの目で見てきましたし、その上で人間の復興というのは非常に難しいものがあると思っています。

避難指示区域

15日と16日に私は車で、福島の被災地、避難指示区域というのがあるんですが、そこを周ってきました。
で、ここで「今日こういう講演の会に行くんだよ」と言いましたら、私と長い間付き合いのあるカメラマンが「それだったら雁屋さん、いまの福島の姿を見ておかなきゃダメだよ」
「こんな状態(転んで足の骨を折った)で歩けないんだよ」と言ったら「僕が車で連れて行ってやる」というので、彼が車を運転してくれて、カメラもとって僕の介護もしてくれる、そういう大変親切なカメラマン。
僕は「美味しんぼ」っていう漫画を描いていますけれども、「美味しんぼ」であちこち取材するたびに、彼とリポーターと色々集まって、チーム美味しんぼというのができて、チーム美味しんぼの力でもってできたんです。

大変辛い、取材といっても、私としては車の中からカメラマンに「あそこを撮って、ここ撮って」というだけで、あんまり自分自身としては外に降り立つこともできないような状態だったんですが、見るものはすべて見たと思います。

そこで私が見たものは、「復興どころではなくて、むしろ国土の新たなる破壊である」そういうふうに私は思いました。

それをどうした感じたかというとですね、ちょっと私が撮ってきた写真を見ていただきたいんですが。
実は私は今回行きまして、まず何が嫌だったかと言いますと、もう、フレコンバックというのが行くところところ全部塞いでいるんですよ。
それを見てうんざりしたんです。
で、僕は自分だけうんざりするのは嫌だから、皆さんにうんざりしてもらおうと思って、ちょっとお見せします。

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これは飯舘村の写真なんですが、見てください、フレコンバックがこのように積み重なっているんですよ。

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いく先々で山の中にこんなのが置いてある、これが現実なんですよ。
これはなんでこうなるんですか?
フレコンバックについては後でお話ししますが、

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これがずーっと続いているんです。

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もともとは砂利とかそういうものを運搬するものに、それに放射性物質のある、その辺で切り倒した雑草とか材木とかそういうものを詰めて、土砂であるとか、積んでおいてあるんです。
それがいかに脆弱か、というと、
これみてください、袋の上に雑草が生えちゃったんですよ。
こんなもので放射性物質が管理しておけますか?

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みてください、こんな、むちゃくちゃでしょ。
こういう脆弱なものに入れて、それで管理している。
そういうことで事足りると思っていることがおかしいんです。


それで、これは富岡町です。
これはDAYS JAPANという雑誌の去年の号から拝借しました。

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これは海岸線にフレコンバックが並んでいるんですよ。
海岸線ですよ。

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海岸線にフレコンバックがあるんですよ。
津波とかがあって高波が来たり、ちょっとした台風が来たりしたら、これはさらわれちゃいます。

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これで放射性物質の管理ができていると言えるんですか?
そんなこと有り得ないでしょ。


これは富岡町の村の中です。

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お墓の、福島県では自分の家の周りにお墓がよくあります。
自分の家の周りに、近所にお墓がある。
先祖代々のお墓。
要するにそこが。
村の人たちの住処ですよ、住んでいるところですよ。
住んでいるところにこんなにフレコンバックが置いてある。

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ここに「しゃへい」って書いてあるでしょ。
最初は何かわからなかったんです。
ここで作業をしている人に「この”しゃへい”ってなんだ?」って言ったら、
実はこの”しゃへい”って書かれている袋の奥にもっと高い線量のものが置かれているんです
「この”しゃへい”っていうのは、ただの泥なんです」って。
中に隠してある強力なる放射性物質を遮蔽するためにまわりに袋を積んである。
だから、6段にも積んであるフレコンバックの一番上は天井みたいなつもりで積んである。
”しゃへい”というものが積んであるのはこんな広々としたところです。

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これは富岡町の駅なんです。
富岡町の駅というのは津波で流されました。
私たちは2012年にはこういう残骸があったんです。
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手前に駅があって、奥に海が見えるでしょ。
私を案内してくれた富岡町の役場の人に
「駅から海岸線まで何もないんですね」って言ったら、
「いやいや、津波の前はそこに町があった。そこに人がたくさん住んでいた」

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これも富岡町の残骸です。
これはなんか、鉄道愛好者の人たちがとても魅力的だということで撮りに来ようとした人がたくさんいたそうです。
でも当時は2012年は立ち入り禁止でしたので入れませんでした。
今は入れるようになったんです。

富岡町

それでこれが富岡町の、今写した駅です。

富岡駅

駅舎が全部取っ払われて、線路が残っているでしょ。
そしてプラットホームも残っているでしょ。
これで駅だっていうことがわかるんです。

ね。
さっき見たときには駅の後ろにはただ海岸線が見えただけですが、
その海岸線の近くに、このようにフレコンバックがまた重なっているんです。


これが、私が思うに、
国土の破壊のさらなる破壊だと思う。

私たちは2012年、13年に福島に行った時に、
「これはとんでもない、どん底だ」と思ったんだけれども、
今度行ってみたら、その「どん底のそこがまた割れた」。
「いくらでもそこはどんどん割れていくんだぞ」というふうな、私は恐怖感を抱きました。


このようにフレコンバックを重ねていけば、国土はちっとも復興しないんですよ。

復興しない証拠をちょっとお見せします。

田んぼ

これは元田んぼだったんですよ。
事故の後は雑草がたくさん生えていたんです。
それを、放射性物質だということで、草を刈り取ってフレコンバックに入れたんですが、
それだけではまだ線量が下がらないので、線量を下げるために、この茶色の土、田んぼの土がありましたけど、他所から運んできたんです。

そうすると、その田んぼに他所から持ってきた土を入れれば、形上は線量が低くなります。
そして国はこれで「除染は完了した」というんです。


除染ではないですよ。
除染はしたかもしれないけど、もしここで耕作が始まったら、またほじくり出さなければならない。
それからもう一つ、田んぼの土を作るのにどれだけ長い年月がかかっているのか。
何世代にも渡って土を肥やして、手を入れて、田植えができるような土地にしてきたんです。
そこにですね、他所から持ってきた土を入れてしまって、いったい何をどうするんです?

確かに放射線量は低くなったけど、何にも使えない土地でしょ、これ。

これが福島がやっている復興の現状ですよ。

土地の復興だけ、土地は復興していないんです。
実は土地も復興していないんです。
使えない土地を復興したって、それはなんですか?
意味がないでしょ。
そういうことを今現実にやっているんですよ。

僕たちは「この土はいったいどこから持ってきたんだろう?」と思ったんです。
茶色っぽいんですよね。
で、他所から持ってくるんだったら、運賃もかかるし、どこから持ってきたのかなと思ってたんですが、
その近くを歩いていたら、すぐ、数100m歩いたところの山肌をこのように削っておりました。

山肌

で、田んぼの土の色とこの土の色と比べてごらんなさい。
同じでしょ。
私たちは絶対ここから持ってきたんだと。
さもなかったら山を削る理由がないですよ。

山

ここは今ブルドーザーは写っていませんが、別のところに行ったらブルドーザーが土をほじくり返していました。
このようにやって、土を移動して、土をかぶせて、それで表面上の線量は抑えた。
それで「除染が済んだ」という、そういうのが今の現状なんです。



https://youtu.be/lFmzea9a9BM?t=18m46s

で、その除染の仕方というもの、実際にやっているのがここにあります。
これを見てください。
山肌を切っているんです。

切る

竹も木も全部山を切るんです。
山に生えているものを。
なぜかというとずーっと汚染されていますから。

家の前

で、切ったものを家の前に積んでおくわけです。
これをまたフレコンバックに詰めて仮置き場に持っていくんです。
これは除染でもなんでもないですよ。
ただ汚染物質を移動させているだけ。
で、汚染をむしろ広げているだけにすぎません。


だから今やっている、我々が見ている「除染、除染」と言っているのはちっともなんの意味もないことである。
これに対して大変なお金を使っているわけです。
全部ゼネコンというものが仕切っていて、ゼネコンに無限に金が溢れている。

汚染した土地っていうのはゼネコン。
そしてこれはちょっと裏話なんですけど、広域暴力団の大きな、
大きな暴力団に属する組長というのが福島に一人おります。
その人はその広域暴力団の中では位が下でした。
しかし、原発事故が起こって、人夫、労働者、そういうものを派遣することによって、
派遣した労働者からピンハネをすることによって、大金持ちになってしまった。
奴の世界では金の力が一番効くんです。
その組長は、広域暴力団の中でもトップの方に登りつめてしまった。

ヤクザ、ゼネコン、そういう人たち。
途中で労働者からピンハネする人たちにとっては、汚染した福島の土地というのは黄金の土地です。

無限に利益を生み出す土地です。
そういう状態を僕たちはぼんやり見ていて、何にもならないのにゼネコンに無駄な金を使っている。
こんなに苦しい経済の中で、うまくやっている。

除染に意味があるのか?というのは、「それは絶対にない」という説があります。
それは、福島第一原発からは毎日2億ベクレルの放射性物質が放出されているんです。
汚染がそこから出ている。
汚染源が絶たない限り汚染は広がるばかりですよ。


除染したって、除染している源というのは今もお見せしたように山に積もったり、山の木々に積み重なった放射性物質なんですね。
それが雨でも降ればまた麓に流れてくる。

僕が出会った方に何人もお伺いしたんですけれども、
「除染してもすぐに線量が元に戻っちゃう。雨が降れば元に戻っちゃう」とおっしゃっていました。

こういうやり方で、木を切り、がれきを集め、それで何かしたところで、決して除染というのは効果が出ない。


またフレコンバックというのも問題でして、飯舘村では今年(2015年)の9月11日に大雨が降りました。
全国的に記録的な雨が降ったんですが、その時に草などを詰めていたフレコンバックが314袋が川に流出したんです。
で、中身がみんな抜けちゃって、袋だけが川岸に流れ着いた。
そういうものがどこにいくのか、川を経て海を汚染するのか?
あるいは川の流れの周りを汚染していくのか?
いずれにせよフレコンバックの置き方、材質も不安定だし、そういうものを置いたところで何の意味もない。

<除染廃棄物流出>飯舘村の除染袋川に流出 240袋→293袋→395袋





https://youtu.be/lFmzea9a9BM?t=23m14s

で、2015年に福島県富岡町入り口にエコテッククリーンセンターというものができて、
これは除染ゴミ処理施設のことなんですが、kgあたり10万ベクレル以下の除染ゴミをセメントで固化した後地層処理。
地層の中に埋めちゃうという、
「地面深く埋めてしまう」と言っているんですけれど、この埋める場所がまだ見つかっていない。

そして一袋のフレコンバックに入る除染ゴミの重量は約1トンです。

で、10万ベクレル以上の汚染ゴミは中間貯蔵施設に移す。
この場所も見つかっていない。

エコテックセンターでセメント化したものというのは、じゃあ、その周りの土地に埋めるしかない。
それをいつまで埋めておくのか?
制限も決まっていない。
期限も決まっていない。

このフレコンバックというのはflexible(フレキシブル)container(コンテナ)の略なんです。
それをフレコンバックとよく縮めて言ったものだと、えらいものだと思いますけれども、
もともと本来の用途というのは粉末とか粒状の土砂などを保管するのに使うものなんですね。
ポリエチレンなどの化学繊維で作られたシートを袋状のものにして、あと、ベルトが付いています。
折りたたみで軽量なのでいろんな土砂の運搬なんかに使われています。

しかし、これは決して放射性物質を保管するのに役に立つものじゃないんです。
ビニールですから、特別に放射能の汚染物質を入れるために作っているものではありませんから、
まず、放射能に対する耐性なんか無い。
そして、紫外線に対する耐性も無い。
寿命というのは3年ぐらいのものだと言われている。


そんなものに入れておいて、さて、どうするんだ。

2015年3月に環境省が発表したところによりますと、
福島県内にある790カ所に市町村などが管理する仮置き場があるんだそうです。
それが2015年6月の時点で汚染土壌などを運搬された580カ所の仮置き場の中、310カ所で袋やシートの破損などの不具合が見つかった。
さらに環境省は76カ所のフレコンバックやフレコンバックの下に敷くシート、それもビニールとゴムのものなんですけれども、その破損が見つかった。
で、上部の遮水、水を抑えるためのシートの上に水溜りができていた。
それが158カ所。
そのシートの、水が溜まっていた地下層は法面と言いまして、土を盛ったり、木を切ったりした斜面のことを法面というんですけれども、その斜面が崩れた場所が113カ所。
廃棄物を入れる袋の上に雑草が生えているのを47カ所で確認した。
先ほど私がお見せした、あの様なものですね。

この様に既に、環境省自体が「フレコンバックが非常に不安定である」と。
「放射性物質を貯蔵しておくには不安定なものだ」と言っている。

さらにフレコンバックには耐候性とか防水性という、2種類か3種類ぐらいあるんだろうけれども、一番いいのは「ランニングJ型1種」というものだそうです。つぎが2種。
これはかなり耐候性があると。
耐候性というのは気候に対する耐性ですね。
天候の変化によく耐える。

しかしこれは高いから生産が追いつかないというので、「クロス型」という安易なものを使っている。
「クロス型」というのは内袋をつければまだ強度が増すんだけれども、内袋を使うとお金がかかるというので、ゼネコンとか業者が使いたがらない。
結局「クロス型」の内袋ナシの袋に無造作に詰めて並べているというのが今の状態なんです。





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★美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋哲さん 文字起こしブログ
1「国土の破壊のさらなる破壊」★美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋哲氏(文字起こし)

2「低線量被ばくを放っておく限り福島での人間の復興というのはあり得ない」★美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋哲氏(文字起こし)

3「補償問題」★美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋哲氏(文字起こし)

4「食べて応援」★美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋哲氏(文字起こし)


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コメント

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5年たって何事もなかったかのように世間はなっていますが、チェルノブイリから分かるように大丈夫なわけないんだよね。忘れるように何も言わない…訳のわからない人に被害が出ています。こんな日本にはガッカリです。汚染地帯にはまったく関係ありませんが心臓疾患、癌増えています。もっと情報を出すべきと思います。何か言った人をたたくのではなく…

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No title

雁屋氏の鼻血問題を批判している人々に福島県内の著名人がいる。良く調べたら、あの日本会議メンバーである臨済宗の住職だった。
そりゃあ鼻血なんて無い、と云い切っちまう訳だ。そんな人間が東京新聞にコラムを持っている、、。

原発事故の成れの果て

雁屋さんの多くの写真を添えた現地ルポ、ありがとうございます。ご苦労様でした。
確かに脆弱なフレコンバッグに詰めて並べただけで、むごたらしいですが、放射能を少しでも封じめるせめてもの「成果」がこの現実でしょうか。
この除染が手ぬるいとか間違ってるとか私は申しません。なぜなら、原発大事故の当然の成れの果てだからです。これ以上どうすることもできないでしょう。
50年前に時間を戻せるなら原発なんか止めときゃ良かったと後悔するしかありません。
半減期でさえ30年ですから、汚染から解放されるのは何百年も先でしょう。この荒れ地を放置するしかないです。
しかし、政府は除染して住民を帰還させ復興するなんて本気で考えてるみたいですね。しかも停止した全国各地の原発を再稼働させようとしている、この地震大国で。放射能をなめている、これだけの大事故を経験しながら。私はそのずぶとい神経が分かりません。隣の記事に登場した村井宮城県知事にも日本政府にも、あなたたち正気の沙汰ですか?と問いたいです。
石棺で覆ったチェルノブイリはコンクリートのひび割れで放射能漏れがひどくなっているので、石棺の上に再度コンクリートをぶっかける対策をしようとしていると聞きました。起こってしまった事故に対するできる限りの対策、努力でしょう。冷静に現実を見ているからでしょう。
今日の結論は日本の完敗、大バカ、チェルノブイリの勝ち、まともさを知らされたということです。