「高浜原発4号機の緊急停止からみる原発再稼働の課題」飯田哲也さん(文字起こし)

2 0 1 6年 3月 1日
JAM THE WORLD : J-WAVE 81.3 FM RADIO

「高浜原発4号機の緊急停止からみる原発再稼働の課題」
(TEL:認定NPO法人『環境エネルギー政策研究所』所長 飯田哲也さん)

堀潤:
きのう、関西電力 高浜原発4号機が緊急停止しました。
先月20日に一次冷却水の漏えいが起きて対策を講じたのち、
26日に再稼働して、わずか3日後のトラブルです。
この一件から見えて来る、原発再稼働の課題について、
認定NPO法人『環境エネルギー政策研究所』所長 飯田哲也さんにお話を伺います。
飯田さんこんばんは、よろしくお願いいたします。
飯田さんは現在デンマークにいらっしゃるんですよね。


飯田:はい、デンマークに来ております。

掘:エネルギー関係の会合などですか?

飯田:
そうですね、やはりこちらも福島から5年でチェルノブイリから30年というので、原子力やエネルギーのこれからを問う会議がたくさんあるので、その一環できています。


掘:
日本の原子炉の再稼働の問題というのは、デンマークなどではどのように受け止められているんでしょう?
話題になりますか?

飯田:
やはりですね、政治は特に、今デンマークは新しいエネルギーが中心です。
先週金曜日はドイツで、まさに原発問題を問うシンポジウムの中では、やはり、
「日本はあれだけの事故にあって本当に原発政策を見直しているのか?」ということを疑問に思う人が多かったですね。


掘:
様々な安全対策が万全とは言えない中で、駆け足なんじゃないか。
そんな印象を僕も持っているんですが、飯田さんは今回の緊急停止はどうご覧になっていますか?

飯田:
起きるべくして起きたというのが、やはり正直なところだと思います。
過去4年停止して再稼働した原発は世界に14基で、その全てにおいてトラブルがずっと続いているということで。
しかもこのデンマークのすぐ向かいにスウェーデンがあるんですが、スウェーデンのオスカーシャムという原発が、やはり同じように4年ぐらい長く停止をした後に再稼働しようとしてはトラブルを起こし、またしようとしてはトラブルを起こし、で。
よく「自然エネルギーは不安定エネルギーだ」っていうんですが、
スウェーデンでは「原発こそ狼少年みたいに不安定電源だ」というふに半分からかわれるぐらいに、長い停止の後のトラブルはもう、こちらではやはり認識をされているという感じですね。


掘:
私も実を言うと、電力会社の原子力部門の方々にお話を聞く中で、
やはり「止まっているものを動かすというのは実を言うと非常にリスクが高いんだ」というのを、専門家のみなさんもやはりおっしゃっていますよね。

今回高浜4号機は2011年7月に定期点検のために停止して以来、4年半以上と。
具体的に止めていることでどういう不具合が生じやすくなるんでしょうか?


飯田:
大きくはまず、膨大な配管というか、水の系統の中で、錆が出てくるとかですね。
無数の配管と継ぎ手がある中で、恒常的に動かしているときはまだいいんですけれど、それが冷たい状態で長く置かれ、そしていろんな応力の状態、金属にかかる力の状態が変わることで、に加えて、予期しない錆とかそういうものが、とにかく水に関わる水回りですね、そこに問題が生じるのが一つ。
先日出た汚染水の問題もその一つだと思います。

もう一つはやはり電気系が。
これもすざましい電気系統が、接続も含めて長くあって、で、今回は主に電気系だと思いますが。
そういうものが両方重なって、しかもどこでトラブルが起きるのかもなかなか、全部点検するのが非常に難しということがでてきますね。

しかも、かなり老朽化をしているということがそれに輪をかけてトラブルを起こしやすくなっているという状況ですね。


掘:
私も東京電力福島第2原発の3号機の原子炉格納容器の中に入って取材をしたことがあるんですけれども、
本当に細かく、細い配管が入り組んでいて、これを一つ一つ手作業で点検するのはほぼ、難しいんだろうなというのは容易に想像ができましたけれども。

再稼働の政策というのは、これは日本政府が進めていますよね。
特に東電管内でも柏崎刈羽原発も再稼働に向けて東電は動かしたいと言っています。
ただ、中越沖地震のときから止まっている原発などもあって、日本の古くて長く止まっているものを本当に今再稼動させて大丈夫なのか?と、その不安が付きまとうんですけどね。



飯田:
ええ、まさに、すべてのものが完全に動いていたものではないので、それに加えて4年間の停止と、そして老朽化と。
3つのものがこれからどう検査をして動かしていけるのか?というのは、やはり安全性に関しては相当懸念は残ると思いますね。
ある程度、電力会社にとっては、もちろん今、これから電力小売の完全自由化を控えて、背中を再稼動に向けてますます押されているところだと思うんですが。
逆に言うと、もうはっきり損きりをしてしまっていく、その割り切りをしていかないと、安全性と経済性の綱渡りの中で、より危ない橋を渡らなければならないということがですね、この先も続くんじゃないかという気がしてですね。

掘:
この自由化の波で、各電力会社さん。
これから異業種の皆さんが電力に参加するということで、激しい競争にさらされるわけですよね。
そうした中で当事者の皆さんの声を聞くと、やはり今おっしゃったように、
「勝ち残るためには原発の再稼動が必要なんだ」と、そういう声を聞きます。
これはやはり、経済合理性が優先されて、安全性そのものへのまなざしというのが、おろそかになりかねないんじゃないですか?

飯田:
そうですね。これはかつての高圧の部分での自由化のときにも起きたことなんですが、電力会社が値下げをすれば、新規参入者はもう、一気になぎ倒されるかのように消えていくんですね。
で、電力会社とすれば、値下げの原資が欲しいと。
手っ取り早いのは、まずはコストを削減するということで、つい最近九州電力は免震重要棟を作ると約束したのをやめますといってですね、それを値下げ原資にする。
そして、燃料費を節約するために原発を再稼動して、これも競争の原資にする。

この二つが、安全対策費も減らし、原発再稼動によって燃料費を節約して、これも競争の原資にする。
この二つがこれからどんどんどんどん圧力が増していくと思いますね。
非常に危ないことですね。


掘:
東京電力の方も、福島県の復興や廃炉作業を進めるためにも利益を上げなくてはいけない。
そのためには新潟の柏崎刈羽原発も、なんとか理解を得て再稼動させたい、なんていう話を、
まさに昨日もお話をされていたんですね。
ただ、私たちはなかなか原発の再稼動に向けての安全性がどこまで本当に担保されているのか、知る由がないというかですね、このあたりは、国民サイドとしてはどのようにこの辺り向き合えばいいんでしょうか?


飯田:
そうですね、今回も泉田知事が設けられた技術委員会が追求する中で、東京電力のマニュアルで「メルトダウンを判定するマニュアルがつい最近出てきました」という事件があったと思うんですね。

掘:そうでしたね。

飯田:
あの技術委員会の目線を原子力規制委員会が同じ水準かもっと厳しい水準で本来なら持たないといけないと思いますが、それが今十分に持てていない。
昨年の春もそうでしたが、福井地方裁判所の樋口裁判長が、やはり、「今の安全基準そのものが福島の事故を学んだ水準に至っていない」っていうことを厳しく指摘をされたわけで、国民としては、本当に国民福島の事故に学んだレベルの安全性に全体として到達しているのか?ということを、絶えず厳しく目を向ける必要があると思うんです。

その意味で、今回東京電力のトップ3が強制起訴になったということのこれからの推移というのは、その意味で非常に私は期待できるというふうに思っています。


掘:
最後に飯田さん、まさに強制起訴、旧経営陣、勝俣元会長、武藤元副社長、武黒元副社長の強制起訴。
この件について今後注目されているのはどのような点でしょうか?

飯田:
やはりこの訴訟の中で、これまで東京電力が十分に出してこなかった様々な証拠書類や証拠ビデオ、様々なデータとかが、一つ一つこれから明るみに出てくると思うんですね。
例えば東京電力本店と福島第一とやりとりしていたビデオ会議の重要な部分がまだ出ていないとか、

掘:本編の消されている部分とかですね。

飯田:
はい、そうですね。
そういったところを一つ一つ検証していく中で、やはり東京電力が行った不作為というものがしっかり表に出てくる。
で、おそらく東京電力だけではない政府との不正や不作為というものも出てくることによって、
それを単に犯人探しではなくて、やはり今後の安全規制の改善につないでいってほしいなと。
それを是非期待をしたいと思っていますね。

掘:飯田さんどうもありがとうございました。

飯田:はい、こちらこそありがとうございました。




メルトダウン判断 3日後には可能だった
2016年2月24日 15時17分 NHK

東京電力は、福島第一原子力発電所の事故発生から2か月たって、核燃料が溶け落ちる、メルトダウンが起きたことをようやく認め大きな批判を浴びましたが、当時の社内のマニュアルでは事故発生から3日後にはメルトダウンと判断できたことを明らかにし、事故時の広報の在り方が改めて問われそうです。
福島第一原発の事故では1号機から3号機までの3基で原子炉の核燃料が溶け落ちるメルトダウン=炉心溶融が起きましたが、東京電力はメルトダウンとは明言せず、正式に認めたのは発生から2か月後の5月でした。
これについて東京電力はこれまで、「メルトダウンを判断する根拠がなかった」と説明していましたが、事故を検証している新潟県の技術委員会の申し入れを受けて調査した結果、社内のマニュアルには炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定すると明記されていたことが分かりました。
実際、事故発生から3日後の3月14日の朝にはセンサーが回復した結果、1号機で燃料損傷の割合が55%、3号機では30%にそれぞれ達していたことが分かっていて、この時点でメルトダウンが起きたと判断できたことになります。
東京電力は事故後にマニュアルを見直し、現在は核燃料の損傷が5%に達する前でもメルトダウンが起きたと判断すれば直ちに公表するとしていますが、事故から5年近くたって新たな問題点が明らかになったことで、当時の広報の在り方が改めて問われそうです。

メルトダウン認めるまでの経緯
今回の発表や政府の事故調査・検証委員会の報告書などによりますと、東京電力は福島第一原発の事故発生から3日後の3月14日に核燃料の損傷の割合が1号機で55%、3号機が30%に達していることを把握しました。さらに翌日の15日には損傷の割合について1号機で70%、2号機で30%、3号機で25%と公表しますが、原子炉の核燃料が溶けているのではないかという報道陣の質問に対して「炉心溶融」や「メルトダウン」とは明言せず、「炉心損傷」という表現を使います。
一方、当時の原子力安全・保安院は、事故発生の翌日の12日の午後の記者会見で、「炉心溶融の可能性がある。炉心溶融がほぼ進んでいるのではないだろうか」と発言していました。ところが、その日の夜の会見では担当者が代わり、「炉心が破損しているということはかなり高い確率だと思いますが状況がどういうふうになっているかということは現状では正確にはわからない」と内容が大きく変わります。
さらに翌月の4月には、当時の海江田経済産業大臣の指示でことばの定義付けを行ったうえで、1号機から3号機の原子炉の状態について「燃料ペレットの溶融」とふたたび表現を変えます。
その後、事故から2か月たった5月になって、東京電力は解析の結果として1号機から3号機まででメルトダウンが起きていたことを正式に認めました。

社員「炉心溶融 なるべく使わないようにしていた」
メルトダウン=炉心溶融を巡っては、東京電力の社員が、政府の事故調査・検証委員会の聞き取りに対し、「炉心溶融」ということばを使うことに消極的だった当時の状況を証言しています。公開された証言の記録によりますと、事故当時、東京電力の本店で原子炉内の状態の解析を担当していた社員は、事故から1か月近くたった4月上旬の時点の認識として、「1号機については水位は燃料の半分ほどしか無かったため、上半分は完全に溶けているであろうと考えていた」と述べ、核燃料の一部が溶け落ちていたと見ていたことを明らかにしています。そのうえで、「この頃の当社としては、広報などの場面で炉心溶融ということばをなるべく使わないようにしていたと記憶している」「炉心溶融ということばは正確な定義があるわけではないので、誤解を与えるおそれがあるから使わないと言った考えを聞いた覚えがある」と証言しています。

福島・楢葉町の住民「憤りを感じる」
原発事故の避難指示が去年9月に解除され、住民の帰還が始まっている福島県楢葉町の住民が暮らすいわき市にある仮設住宅では、東京電力に対する憤りや不安の声が聞かれました。
今も仮設住宅で避難生活を続けている83歳の男性は、「東京電力はきちんと謝罪をしたのか。憤りを感じます」と話していました。また、72歳の女性は「メルトダウンしたと、本当に分からなかったのか、それとも隠していたのか。今ごろ言われても気分がよくない」と話していました。仮設住宅の自治会長を務める箱崎豊さんは、「楢葉町民が、安全だというお墨付きのもとに帰ろうとしているときに今さらという感じで腹立たしく思う。残念極まりない。企業体質が改めて問われる事態だ」と話していました。

福島・大熊町長「発表が遅れた真意は」
メルトダウンを巡る東京電力の対応について、福島第一原発が立地し、現在も全町民が避難を続ける大熊町の渡辺利綱町長は、「なぜ発表が遅れたのか、率直に考えて疑問に思う。単純なミスとは考えられないし発表までにだいぶ時間がかかっているので、そのあたりの真意も知りたい。最初からメルトダウンと発表されていれば、町民などの反応も違ったと思う。信頼を築く上でも、正確な情報を迅速に伝えてもらうのが大事なので、引き続き対応を求めていきたい」と話していました。

福島県知事「極めて遺憾」
東京電力の、メルトダウンを巡る通報などの対応について、福島県の内堀知事は「3月14日の時点で『炉心溶融』という重要な事象が通報されなかったことは極めて遺憾だ。今後、迅速で正確な通報や連絡が徹底されるよう、改めて強く求めたい」というコメントを出しました。

新潟県知事「隠蔽の背景など明らかに」
新潟県の泉田裕彦知事は、「事故後、5年もの間、このような重要な事実を公表せず、原発の安全対策の検証を続けている県の技術委員会に対しても真摯(しんし)に対応して来なかったことは極めて遺憾。メルトダウンを隠蔽した背景などについて今後の調査で、真実を明らかにしてほしい」というコメントを発表しました。

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