0歳で被ばく 甲状腺がんに
チェルノブイリから見た福島

事故から30年。
住民全員が避難し廃墟となった町。森の奥に見えるのがチェルノブイリ原発だ。

爆発した4号炉は溶け落ちた核燃料ごとコンクリートの塊に覆われた。
隣には建設が進む巨大なシェルター。
完成後にスライドさせ、老朽化した石棺を丸ごと覆う計画だ。
30年前、この場所から大量の放射性物質が撒き散らされた。

現在のウクライナとベラルーシ、そしてロシアの3カ国で35万人が強制避難。

事故当時18歳以下の子供7000人以上から被ばくが原因とみられる甲状腺がんが発生した。

我々がまず訪れたのは原発からおよそ80km離れたウクライナ北部の地チェルニーヒウ。
地域の汚染度は比較的少ないとされ、避難区域にはならなかった。

一方で、事故当時子供だった50人以上から甲状腺がんが見つかっているという。

そのひとり、エカテリーナ・チュードワさん30歳。
事故当時11ヶ月の時に原発事故が起きた。

エカテリーナさんの母:
具体的にどんな事故が起きたのかは全く知りませんでした。
子供たちへの避難指示も出されなかったので、外で娘を遊ばせていました。

事故直後の風向きなどから得られたデーター。
事故の三日後に放射性沃素がこの地域に流れたのがわかる。
エカテリーナさんの甲状腺にがんが見つかったのは14歳の時だった。

エカテリーナさんの母:
信じられませんでした。
娘が死んでしまうのではないかと、恐ろしかったし、甲状腺がんがどんな病気なのかもわかりませんでした。
原発事故の影響を受けるとは夢にも思っていなかったエカテリーナさん一家。

小児甲状腺がんを患った エカテリーナ・チュードワさん(30)(事故当時0歳):
年頃だったので傷跡を見て同級生がどう思うのか、とても気になりました。
今は目立ちませんが、当時は傷跡がはっきりと見えていたからです。
福島では今のところ出ていない事故当時0歳から5歳の甲状腺がん。
ここチェルニーヒウでは発生している。
地元医師はこの年齢層の発症に特徴があったと話す。

チェルニーヒウ市立診療所 ワレンチーナ・ワーヌシュ内科部長:
すぐに発症したわけではありません。
12歳から14歳になって初めて甲状腺がんが見つかったのです。

5歳以下の子供たちの発症は思春期に入ってから。
つまり、早くても事故から7〜8年経ってからだった。
ただ、なぜそうなったのか?はわかっていない。

我々は国境を越えベラルーシに入った。
2500人を超える子供の甲状腺がんが発生したベラルーシ。
研究拠点となっているのが、首都ミンスクにある国立甲状腺がんセンターだ。
長年甲状腺がんの研究を続けてきたユーリ・デミチク医師。
被ばく線量と甲状腺がんの関係について、まずこう指摘した。

ベラルーシ 国立甲状腺がんセンター ユーリ・デミチク所長:
被ばく線量が低くても甲状腺がんが発生する可能性はあります。
「これ以下なら大丈夫」という値はありません。
我々は福島県で行われている甲状腺検査の1巡目2巡目の資料を見てもらった。
彼の表情が変わったのは2巡目の検査結果を見た時だった。
ベラルーシ 国立甲状腺がんセンター ユーリ・デミチク所長:
1巡目の検査でがんが見つからなかった子供たちから、2巡目の検査になったなぜ見つかったのか、腑に落ちません。
デミチク氏は1巡目の検査で目立った異常がなかった人から、わずか2年でがんが見つかったことに関して関心を持ったという。
ベラルーシ 国立甲状腺がんセンター ユーリ・デミチク所長:
検査ミスがあったのかもしれません。
あるいは、信じがたいことが2年間で起きたのかもしれません。
甲状腺がんを知り尽くしている私でも興味深いものです。
なぜ2年間で現れたのか?
ベラルーシの専門家が異変を感じた2巡目。
日本の専門家も違和感を抱いていた。
つづく
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