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11.12
Sat
日本生物地理学会主催 立教大学理学部共催
ミニシンポジウム「次世代にどのような社会を贈るのか?」 2014年4月12日(土)




https://youtu.be/NOIREmfyYpc?t=33m33s

大切なことは

日本では再びまた時代が逆戻しになってしまって、学術会議がなんと言おうと、そこかの過疎地にこのゴミを押し付けようということが今自民党政府の中ではまた錯誤が進んでいるのです。
本当に困ったことだと私は思います。

米国が原爆を作ろうとして、マンハッタン計画という暗号名で呼ばれた計画を作って、1942年に原子炉を動かし始めました。
それから72年の時が経っています。
そして米国が原子炉を動かし始めた時から、これをやったら大変なことになるということは学者はみんな知っていたんです。
核分裂生成物という死の灰を作ってしまう
なんとかできなければ大変なことになる。
みんな知っていました、
研究もその時から続いているんです。
「なんとか無毒化したい」研究してきました。
「いずれなんとかなるだろう」
「科学が進歩してくればなんとかしてくれる、なんとかしてくれる」と思いながら、原子力の関係者はずーっとやってきた。
日本でも原子力発電をやってきた。
いずれなんとかなると思ってきたのです。

しかし残念ながら出来なかった。
70年以上研究を続けても出来ない。
出来ないならしょうがないということで、さっきのように生命環境から隔離しようとしたのですけれども、隔離に要する時間の長さは100万年というのです。
こんなこと無理じゃないですか。
私はどうせあと10年か20年で死んでしまう。
今日この会場にいらっしゃる皆さんだってそうです。
一番若い方だって、たぶん50年60年で亡くなってしまうわけです。
日本の国家というものだって、何百年もつかわからない。
1000年もつか、2000年もつか誰もわからない。
それなのにゴミだけは100万年間隔離するなんて、そんなことできる道理がないことなんです。

しょうがない、今日これから森中さんが言ってくれるかもしれない。
作ったゴミからプルトニウムとかそういう毒性、寿命の長ーいものをとにかく取り出して、それは別になんとか消すことができたとしても、そうじゃない核分裂生成物だけでも数1000年間は隔離しなければいけないのです。

私はいない、自民党政府もない、日本の国家もないだろうという、そんな長さに渡って隔離しなければいけないような毒物を作る、そのこと自身本当はやめなければならないと思うべきだと思います。

個人の時間、国家や社会の時間から考えてみても、もう全く無理なのです。
もういい加減に目を覚まして欲しいと私は思います。
学者の人に対してもそう思うし、政治家の人に対してもそう思います。

今日ここに参加してくださった方々は、どちらかといえば騙されてきた方々だと思いますけれども、
でも、目を覚まして欲しいと思います。
「元からやってはいけないことだった」ということに気がつくべきだと思います。


すでに作ってしまった高レベル廃棄物


でもすでにたくさんのプルトニウムを作ってしまったし、核分裂生成物も作ってしまいました。
一体どうしたらいいか?ということなんですけれども、…わたしは、わからない。

申し訳ないけどわかりません。

でも、これまでなんで私が原子力に反対してきたかといえば、
そんなどうしたらいいかわからないゴミを生み出しことに、私は反対してきた、のです。


ゴミ置場を都会に

まずは原子力をやめる。
そして、すでに作ってしまったものは仕方がない。
消せないなら、私たちの黒い目で監視できるところで保管するしかないだろうと思います。

そしてこれまでには、先ほども聞いていただいたように、過疎地に押し付けてきたし、これからも押し付けようとしているわけです。
でもそもそも原子力発電というのは電気が欲しかったからなんです。
電気を欲しがるのは都会なんです。
そしてリスクだけを過疎地に押し付けるというのをやってきたのですけれども、
そんなこと自身が間違いだったのです。

高レベル廃棄物やプルトニウムは、私は都会に置き場を作って、とにかく監視を続けるしかないと思います。



https://youtu.be/NOIREmfyYpc?t=38m1s
トリウム溶融塩炉

今日これから森中さんはトリウム溶解塩炉の話をしてくださいます。
あんまり細かい議論をする時間はないはずですけれども、「それを作ってプルトニウムを消そう」という提案を森中さんもしているし、関係している学者の方々もこの会場には来てくださっています。

しかし、長ーい原子力の歴史をたどってきて、なんで今の原子力発電所、軽水炉が一度にできたか、といえば、もちろん理由があるんです。

原子力というのはウランの核分裂反応を利用してエネルギーを取り出すわけですが、
天然にあって核分裂をする物質というのは、ウランの235以外には無いのです。
そしてそれを使ったってエネルギーにはならないということは、私は先ほど聞いていただいたわけだけれども、
でもそれしかないからとにかくそれを使おうとやってきた。
そして出てくる熱を水を使って冷やそうとしました。
水というのはこの世界にある最高の冷却材です。

もともと核分裂する性能のものがある。
そして最高の冷却材である水というものを組み合わせて軽水炉というものができた。
ようやくにして今日まで来たわけですけれども、

でもその軽水炉さえ安全でもなければ経済的でもなく、生み出す毒物の始末さえわからないという、そういうものだったのです。

先ほど聞いていただいたように、役立たずの非核分裂性ウランをプルトニウムに変えてエネルギー源にしようとした核燃料サイクルはもう破綻しています。

そしてこれからトリウム溶融塩炉というのをやろうとしているわけですけれども、トリウムというのは一切核分裂性がありません。
もともと核分裂性でないものを核分裂性のウランというものに変えて、それをエネルギーにしようという試みなのですけれども、もともとプルトニウムの核燃料サイクルですらできなかったし、このサイクルもほとんど実現お見通しは私はないと思います。

そしてトリウムというものは、核兵器を作るにはあまり適さない特性があるという議論もあるんですけれども、そんなものはほとんど意味がないです。
例えばテロリストが取っていくとかということを考えれば、それに対しては抵抗性があるかもしれませんが、国家というものが原子炉を作る限りは、そこでできてくるウラン233、要するに核分裂性ですけれども、それをどう扱うかは国家の意思によるものであって、それを核兵器にするということはもちろんできてしまうと私は思います。

さらにプルトニウムを消したいと私も思うし、森中さんも今日その話をしてくださるのですけれども、
でも、プルトニウムを消すというその目的だけに関しての溶融塩炉、また要するに核分裂反応を利用して核分裂生成物を作りながら一方のゴミを消すということに期待するというのは、私は間違いだと思います。


最後時間が過ぎてしまっているようなんですけれども一言だけ言わせてください。
森中さんはこれから言ってくださるかもしれないのですけれども、
世界で今エネルギーが本当に使えないで困窮している人々がたくさんいるんです。
「そういう人たちになんとかエネルギーを使わせるためにも溶融塩炉が必要だ」というお考えのようなんですけど、私はそれは多分違うと思っています。

これが世界全体のエネルギー消費量です。
世界の約60数億人の人口を国ごとに分けてあって、帯の高さがそれそれの国でどれだけエネルギーを使えているか、一人一人が使えているかということを示しています。

一人当たりのエネルギー消費量

例えば真ん中に中国という国がありますが、約10億人を超える人々が、この帯の高さだけのエネルギーを使っていると。
平均ですよ。
もちろん中国でも膨大な金持ちがいて沢山エネルギーを使うし、ほとんどエネルギーを使えない人もいるわけですけど、平均で言えばこれだけです。

そして一番沢山エネルギーを使っているのは、カタール他の中東産油国ですけれども、ほとんど人口がありませんので、帯じゃなくて線にしか見えないです。
実質的に沢山エネルギーを使っているのはもちろん米国です。
3億人ぐらいの人間が膨大なエネルギーを使って、享楽的な生活を送っている。
それに続いて、ロシア、韓国、フランス、ドイツなんてありますし、日本もここにある。

世界平均がここです。
日本という国では、私たち一人一人は世界平均の人たちの2倍か2.5倍も使ってこういう生活をしているということになります。
世界全体を4つに分けるとすれば、世界平均を超えて使っている国々は、このはじめの4分の1だけ。
たった4分の1の国々が世界平均のエネルギーを使って豊かにいる。
残りの4分の3の国々は世界平均以下しか使えないし、地球の人口の半分の人々はもう、ほとんどエネルギーは使えないという、そういう生活を送っている。
今現在11億人が絶対的貧困にあって、5億人は飢餓に瀕している、そういう世界なのです。


いわゆる先進国と言われている国々が、エネルギー全体の64%を使ってしまっている。
次の4分の1のグループが21%、次が10%、本当にエネルギーが使えない国々は5%しか使えないという、そんな世界、なんです。

こういう国々の人たちがエネルギーをもっと使いたいと思うのは当たり前のことなのであって、どんどん使えるようにしなければいけないと、私は思います。

未来に贈るべき世界

しかし、です。
もしそういう国々の正当な思いを実現させてエネルギーを湯水のごとく使っていいということにしてしまうと、地球は破滅するんです、もう。
今のエネルギーの全体の使用料でも、もう破滅に向かっているわけです。
もっともっと使うなんていうことになれば地球が破滅してしまうことになるのですから、その時にしなければいけないことは、今使えなかった人々にエネルギーを使わせるために溶融塩炉も含めて新たなエネルギー源を開発するということではないと私は思います。

やるべきことは、先進国と呼ばれている私たちが、エネルギーの消費量をどんどんどんどん減らしていって、せめて世界平均まで減らす。
そして私たちが減らしたものを今エネルギーが使えない人たちに回すことによって地球全体が生き延びる。
そういうことを考えなければいけない時なのだと私は思います。


それこそがこれからの次世代に、どんな世界を贈るのかということに対する私なりの答えです。
終わりにします、ありがとうございました。




1.原発再稼働〜避難計画「どこに向かう 日本の原子力政策」NHK解説スタジアム8/26(文字起こし)

2.老朽原発40年ルール「どこに向かう 日本の原子力政策」NHK解説スタジアム8/26(文字起こし)

3完.核のゴミ〜核燃料サイクル「どこに向かう 日本の原子力政策」NHK解説スタジアム8/26(文字起こし)






comment 12
コメント
お体だでも悪くなさっていらしたのですか?核発電について書き起こししてくれる人が減って困っていました。今後もご活躍なさることを切に願って折ります。
なんせコッチとらは、外国語は寝たきり老人だし生臭さなもんで(;^_^A
今後ともどうぞよろしくお願いしますm(。。)m
こっちはこの頃酷いことになっています。米国のデリバディブ問題を検索したら、400兆ドル超えた、という記事にヒットしたのはいいのですが、その次の日にはそのサイトが出て来ない、、。何でもYahooは米国情報部にメールなどの情報を流しているというニュースが新聞にまで出る始末。Googleは黙秘してるそうで、、。今はウイキペディアも検索できなくなってしまいました。
俺そんなに大物になったんですかねェ?(笑)
まァ、世の中ドンドン暗くなるばかりで(悲)
そんな息苦しい日本(世界?)ですので、ご自愛くださいませ。
武尊 | 2016.11.13 12:58 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| 2016.11.14 14:12 | 編集
ずっと更新がないので、ちょっと心配していました。
健康被害には気をつけましょうね。
今後もマイペースで良いと思いますから、無理せず続けてくださいね〜
いつも期待していますので。

今回の記事は2014年当時の物だそうですが、満を持して登場!
と言いたくなるくらい内容が濃いと思います。

最近やっとトリチウムの処理についての問題が、ニュースになるようになってきました。
保守的なNHKでさえも原発問題について批判的なニュースが増えてきました。
ですが、健康被害についてのニュースがほとんど表面化しません。
健康被害が出ないのなら、事故が起きても避難の必要はないはず。
何が一番の問題なのか、肝心の所が隠されています。

避難訓練のニュースが多いですが、そんな膨大な労力と費用をかけてまで、原発を今後も続けるほど、原発は価値あるものとは到底思えません。
原発は社会の害毒、とんでもない金食い虫ですね!!
ワタナベ | 2016.11.14 20:38 | 編集
さきほどのコメントで、いきなり話題がトリチウムに飛んでしまいましたが、本題のトリウムとは別物です。
誤解のないようにお願いします。

一般論として、核廃棄物処理の問題が注目されてきた、という事を言いたかっただけです。
遅ればせながら、ロシアとの技術協力の話も持ち上がってきたのは、希望をいだかせます。
ワタナベ | 2016.11.14 20:58 | 編集
暫く休まれていたようですが、
お疲れになっていたのでしょうか。

再開されて喜んでおります。

どうぞ、ご無理なさらずに、ゆとり
を持ちつつも、頑張ってくださいま
すよう、お祈りしております。

これからもお世話になります。
楽しみにしております。
| 2016.11.14 21:36 | 編集
 仏アレバの核燃料分野は2年間で約70億ユーロの損失を出してガタガタで、中国 核工業集団ほか外国企業が10億ユーロを出資する話が出てて、11/14にオランド大統領を中国の副首相が訪ねて資本参入の交渉をしたそうです。
 小出さんの仰る科学的合理性も、健全な市場のルールも通用しない政治的怪物をどう止めるか?
| 2016.11.15 10:16 | 編集
きーこ様のブログ更新、嬉しい。
エネルギーの無駄遣い、気を付けます。
旅行に行くときは、冷蔵庫と電灯に繋がる以外のブレーカーを落とします。
冬はガス湯沸かし器に繋がるブレーカーは落とさない。
高給取りで有名な企業にお勤めの旦那さんが居る友人は、毎晩ブレーカーを落としているって。
貧乏だからでなくて、しっかりしているからなんだね。
長く続けるのが大事だから、苦痛を感じない程度にだけど、頑張ります。
なな | 2016.11.18 14:35 | 編集
きーこ様。

心配しておりました。
ブログ、再開されたので安心しました。
無理のない範囲でまた更新して下さい。
心の拠り所です。
では。
| 2016.11.20 12:54 | 編集
>こういう国々の人たちがエネルギーをもっと使いたいと思うのは当たり前のことなのであって、どんどん使えるようにしなければいけないと、私は思います

まさしくその通りです。しかしこう考えてるのに

>今使えなかった人々にエネルギーを使わせるために溶融塩炉も含めて新たなエネルギー源を開発するということではないと私は思います。

なぜこうなるんです?

向こう30年で人口は100億に達する。途上国含めすべての人が先進国と同レベルの生活をし始めたら化石燃料は一瞬で消えますよ。世界のエネルギー消費の平均が産業革命以前にでも戻らない限りは。後に待つのはエネルギーの搾りかすを奪い合う戦争だけ。そうなる前に核分裂も核融合も他の新エネルギーもどんどん技術開発しなけりゃ間に合わないってわからないんですか?
それとも我々の子孫に車も家電も使わない生活を送れと?
まったく将来のためになってません。
nnn | 2016.11.20 16:03 | 編集
★<原発常識の最大法則>人類にはメルトスルーしてしまった「レベル7」の解決は永遠不可能!人類に解決できるのは核物質が建屋内にとどまった「レベル5」のスリーマイルまで
★レベル7事故で福島と同じチェルノブイリ!なんと!30年たっても全く解決の見通しすらなく、新しく第2の石棺で覆い始める!
http://www.asahi.com/articles/ASJCG75H9JCGUHBI028.html
★「チェルノブイリ原発に新ドーム 石棺ごと100年密封」(朝日2016年11月15日、ジュネーブ松尾一郎特派員)(おいおい!100年でも完全解決のめどは立っていないって!)写真・図版:14日に移動作業が始まった新しい巨大ドーム。チェルノブイリ原発4号炉の「石棺」を100年単位で内部に納める=ウクライナ北部、欧州復興開発銀行(EBRD)提供 1986年に大事故を起こしたウクライナ北部のチェルノブイリ原発4号炉の「石棺」を新しいドーム形構造物で覆う作業が14日、始まった。計画のまとめ役の欧州復興開発銀行(EBRD)などが発表した。
新潟県知事選で「脱原発候補をツブスそうとした【電力総連と、民進党野田】」さん反省して=>★野党はどうして脱原発(国民の7割が賛成するテーマ)を前面にださない!!
(100年でも完全解決のめどは立っていないって!) | 2016.11.23 08:46 | 編集
「向こう30年で人口は100億に達する。」って、おお、まるでリニア中央新幹線の山梨県が外部委託調査した乗降客数みたいですなぁ。
その調査では、1日、12300人の乗降客が有ると。
おおざっぱに言われると、「フウン、そう。」と思うが、
中間駅だから止まるのは、上下線一時間に一本で、予定されている。
で、山梨での乗降客1時間に769人。一編成定員約1000名しかないのに。
ありゃりゃ、ですなぁ。
向こう30年で人口は100億に達する。だから原発が必要と言われても、原発ナイと戦争だと脅されても、その想定は、リニア中央新幹線の、山梨県が外部委託調査したのと、同じなんじゃないの。
もっと、精緻なデーターを積み上げてください。
全く納得していないから、原発反対の心は動かないですよ。
なお | 2016.11.23 21:41 | 編集
>その想定は、リニア中央新幹線の、山梨県が外部委託調査したのと、同じなんじゃないの。

何がどう同じなのか浅学の私にはわかりませんが…
想定もなにも人口が世界的に大爆発してるのはさすがにご存じですよね。nnnさんのはさすがに多いですが(2050年で90億人くらいですかね。最近の調査だと)。想定から数億人上下にぶれたとしてもその全員に我々の生活と同じレベルのエネルギー消費させたら原油価格どれだけ上がるんですかねぇ。電気料金値上がりで死ぬのは日本の大部分を占める中小企業ですね。

問題なのは確定事項として「人口大爆発+有限な化石燃料」があるのに新たなエネルギー源の開発放棄するっていう意見だと思うんですが…だれも原発推進しろと言ってるわけでもないですし
pon | 2016.12.11 21:11 | 編集
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