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「福島の甲状腺癌について」福島県立医大鈴木眞一氏国際会議での英語による説明

2016年9月開催「第5回福島国際専門家会議」

鈴木眞一


本日私は福島原発事故後の小児期・思春期の甲状腺癌についてお話しいたします。2011年3月11日の福島原発事故後、福島県民は低線量放射線被ばくの健康影響問題に直面しました。
そこで我々は、事故時19歳以下の子供に対し、大規模な甲状腺超音波検診を施行することを決断しました。

検査はまず、事故当時被ばく線量が高かった地域から開始しました。
甲状腺検査の一時検査は、福島県立医大で2011年10月9日からスタートしました。
検査結果の概要がこちらです。
先ほど大津留教授が詳細を説明してくださいましたが、
1巡目の検査で116例が甲状腺癌で、
2巡目の本格検査で57例が甲状腺癌でした。

これらは穿刺吸引細胞診を施行した結果、悪性または悪性疑いがあると診断されたケースです。

このうち先行検査の102例と本格検査の30例の計132例の手術を施行したところ、
手術後の病理結果により、131例が甲状腺癌と確定し、1例のみが良性結節でした。

このYoutubeからおよそ半年後、現時点で最新の県民健康調査の結果
2017年3月31日現在で甲状腺悪性または悪性疑いで190名となっている。

甲状腺がん190人〜公表データ以外の把握、検討へ
ourplanet
1巡目から3巡目をあわせた数は、甲状腺がんの悪性または悪性疑いが191人。手術を終えた人は7人増え、1人をのぞく152人が甲状腺がんと確定した。
2017060504.jpg



穿刺吸引細胞診により、悪性または悪性疑いと診断された172人の結果がこちらです。
132例はすでに手術を施行しております。
残り40例は手術待ちの方か、癌が1センチ以下で転移、浸潤もないため非手術経過観察となった方です。
手術した132人のうち11人は非手術経過観察を勧めましたが、ご本人のご希望で手術をした方です。

これが福島甲状腺検査の手術症例です。
手術総数132例のうち126例を福島県立医大病院で手術しています。
そのうち125例が甲状腺癌と確定しています。

では、その125例の詳細をお話しいたします。

男女の数ですが、男性が44例、女性が81例です。
事故時及び診断時の平均年齢は15歳と18歳です。
腫瘍部位は96.8%が片側、わずか3%が両側でした。

これが手術診断の所見です。
平均腫瘍径は14.0ミリ
80.8%は1センチ以下の腫瘍でした。

リンパ転移症例は22.4%で、
肺への遠隔転移症例はわずか2.2%でした。

ct1aNOMO(1cm以下でリン@あせつ・遠隔移転なし)は35%でした。
ただし11例を除き、被膜外浸潤要請であったり、気管や反回神経に隣接していたり、
バセドウ病とのが@@えお、肺の腫瘍(すりガラス陰影)といった疑いがありました。
これは甲状腺微笑入党癌に関する日本の甲状腺腫瘍診断ガイドラインです、
触診や画像検査などの術前診断により、
臨床的にリンパ節移転や遠隔移転、甲状腺外浸潤を伴う微小乳頭癌は絶対に手術適応であり、経過観察は勧められない。
これらの転移や浸潤のない患者が十分な説明と同意のもと、非手術経過観察を望んだ場合その対象になりうる。

気管や反回神経に隣接していたり、甲状腺被膜外浸潤やリンパ節移転の疑いがあるような症例は穿刺吸引診断や手術が奨励されます。

これは甲状腺癌微小乳頭癌の積極的経過観察についてですが、これが適応となるのは成人だけです、
小児や若年層のエビデンスはありません。
というのも40歳以下の症例は、積極的経過観察期間中に腫瘍が成長し、経過観察を継続できないことが多いからです。

こちらは術式です。
91.2%が半摘ないし葉切除です。
わずか9%が全摘です。

すべての症例でリンパ節郭清を行いました。
リンパ節郭清は18%が外側区域、80%が中央区域で行いました。

術後診断の所見です。
術後診断で57%が(腫瘍径が2cm以下)でした。
39%が軽度な甲状腺被膜外浸潤(pEx1)によるpT3(4cmを超える腫瘍または大きさを問わず被膜外に微小浸潤)でした。
また、78%がリンパ節移転症例でした。

術前診断で(1cm以下、転移なし)だった44例のうち、術後に(1cm以下、転移・浸潤なし)だったのはわずか5例だけでした。

これは甲状腺乳頭癌の診断と治療のアルゴリズムです。
5cmを超える腫瘍、重度のリンパ節移転や被膜外浸潤、遠隔移転などの高リスク症例は
甲状腺全摘、リンパ節郭清、術後のRAI治療が推奨されます。

T1N0M0といった低リスク症例は、葉切除と中央区域リンパ節郭清が症例されます。
グレーゾーンの中間的リスクの症例は各医療期間の治療ポリシーに従って治療されています。

甲状腺乳頭癌の予後因子です。
ご存知の通り、若い年齢は非常に強い独立予後因子です。

高リスク症例以外の予防的RAI治療は日本では推奨されていません。
また、小児に対するRAI治療にも保守的です。
また特に小児に対して、、甲状腺全摘出後のチラージンの投与も問題があります。

そこで福島県立医大病院では、グレーゾーンの患者に対し、
葉切除と、可能であれば中央部リンパ節清を行う選択をしています。
これは日本甲状腺学会の一致した認識です。

これはチェルノブイリ原発事故後のベラルーシと原発事故後の福島の手術式を比較したものです。
ベラルーシでは甲状腺の全摘が大半ですが、福島ではベラルーシと全く異なる状況です。
福島では片葉の切除がほとんどです。
理由は前のスライドでお分かりと思います。

こちらは125例の甲状腺癌の病理組織診断結果です。
121例が乳頭癌で、3例が低分子化癌、1例がそれ以外の甲状腺癌でした。

乳頭癌のうち110例は通常型でした。
そして4例はAPC遺伝子の生殖細胞突然異常による家族性大腸腺症に合併する篩状モルラ型乳頭癌でした。
チェルノブイリ事故後良く観察された充実型の甲状腺癌は現時点では出ていません。

がん細胞内の遺伝子変異の解析結果ですが、
福島の研究ではBREF変異が高頻度です。
これはチェルノブイリ原発事故後の子供達と大きく異なっています。

これはチェルノブイリ事故後のウクライナと原発事故後の福島の小児甲状腺癌患者の年齢別グラフです。
チェルノブイリと福島
赤い棒は福島のデータですが、青い棒とパターンが非常に良く似ています。
青い棒はウクライナの潜伏期間中のデータです。
一方、オレンジの棒は潜伏期間後のウクライナのデータですが、赤や青の棒と全く異なるパターンとなっています。

これは個人の累積実効線量ですが、大半の患者が1mSvを下回っています。
最も被曝している患者で2.2mSvです。
これを見ると悪性と診断された患者塗装でない人との間に有意な差はありません。

右下の図をご覧ください
汚染マップ
放射線量の汚染マップです。
①の地域は最も汚染が強かった地域です。
②の地域は中間。
③は最も汚染が低い地域です。
悪性患者の割合は異なる3地域の間で有意な違いはありません。

我々はさらに4つの地域でも比較してみました。
こちらも地域に差はありませんでした。

では、福島原発事故後の放射線被曝によって甲状腺癌の発生は増えているのでしょうか?
我々の暫定的な答えはノーです。


まず、福島の被曝線量は非常に低いのです。
(介入レベルの)最大線量である50ミリシーバルトを超えた子供はいないと思われます。


放射線誘発性甲状腺癌の症状は少なくとも4〜5年の潜伏期間を経て現れます。
しかし、福島事故からまだ5年しか経っていません。
事故時の年齢が低い方が、発がんリスクは高いはずですが、悪性または悪性疑いの患者の平均年齢は15歳です。
0〜5歳といった、最も低年齢のグループでの癌の発生は、今のところありません。



鈴木眞一氏のこの英語による報告は2016年9月であるが、その3ヶ月前、2016年6月には当時5歳の1人が甲状腺がんかその疑いがあると明らかになっている(↑「0〜5歳といった、最も低年齢のグループでの癌の発生は、今のところありません」という発言は間違っている

【報ステ】甲状腺がん、当時5歳児で初めて確認(2016/06/06) 内容書き出し




この5年間の甲状腺癌の発見率には違いがありません。
チェルノブイリと異なり、充実型の甲状腺癌はなく通常型の甲状腺癌が大半を占めています。
また、遺伝子解析においても、チェルノブイリと福島の子供に違いが見られます。
また先行検査と本格検査の結果は非常に似ています。

最後に福島の超音波検査後の問題について少しお話ししたいと思います。

これは穿刺吸引細胞診で悪性または悪性疑いと診断された症例です。
穿刺細胞

これらのデータは毎回県民健康調査検討委員会で公表されています。
すると毎回「また福島で甲状腺癌が増えた」という声が聞かれます。

これは検出率です。
検出率
検出率は概ね10万人に30人ぐらいとあまり変化していません。
原発事故後の福島での甲状腺癌の有病率が高いことについて、大きく対立する二つの意見があります。

一つは原発事故の被曝影響によるという意見です。
もう一つは過剰診断・過剰診療によるという意見です。

福島県民には、不安や風評がつきまとっているため
我々の立場は、過剰診断・過剰診療が起きないよう見守り続けるということです。

「スクリーニングがん」は時に「前臨床がん」と呼ばれます。
「前臨床がん」は、偶発的がんを意味します。

甲状腺癌では少し異なり、
「スクリーニングがん」は、偶発がんや少し症状のある感、そして無症状のがんを含みます。

もし腫瘍が10ミリを超えたり、リンパ節転移があったり、甲状腺外浸潤があったり、遠隔転移があれば、これらは「臨床がん」であると認識されています。
ですから、「臨床がん」には、症状のあるがんに加え、このような例も含まれます。

つまり、超音波検査の目的は、最新のガイドラインに沿って、前臨床がんではなく、このような臨床がんを検出することにあります。

韓国では最近、分化型の乳頭がんの扱いが変化してきています。
福島県民健康調査と比較してみましょう。

韓国と福島
韓国では2009年の段階で5ミリ以下の結節でも94・4%が穿刺吸引細胞診を実施していました。
また、5ミリを超える場合は、全ての患者で穿刺吸引細胞診が実施されていました。
しかし、2014年には状況は大きく変わり、穿刺細胞診を施行する割合は、5ミリ未満で53%、5〜10ミリでは80%となりました。
これにより、韓国で手術に至るケースは35%減りました。

一方、福島県民健康調査では2014年、5ミリ以下の結節では一例も穿刺吸引細胞診をしていません。
5〜10ミリでも、穿刺吸引細胞診を行っているのはわずか10%にすぎません。
10ミリを超えていても穿刺吸引細胞診を行っているのは60%です。

このように福島の検査では、過剰診断や過剰診療を避けるため、極めて保守的な診断基準となっています。


ですから、韓国のケースと比較できません。

教授、申し訳ありません
過剰診断じゃない

これは過剰診断を避けるための我々の診断基準です。
二つの医学誌(clinical OncologyとEndocrine Journal)で説明しました。

5ミリ以下の結節は全てのケースで検査を中断し、穿刺細胞診はせず、経過観察することを勧めます。
5.1ミリから10ミリまでは、過剰診断を避けるため高いハードルを設けます。
10.1ミリから20ミリは低いハードルを設け、嚢胞を含め、20ミリを超える場合は全てのケースで穿刺吸引細胞診を推奨します。

まとめです。

事故後に増えている福島の甲状腺癌は、大規模かつ非常に高水準な超音波検査によるマススクリーニング効果であり、
放射線誘発に直接起因したた発生とは考えにくいとされています。
見つかった甲状腺癌の原因は、福島原発事故による放射線被曝とは考えられていません。
しかし、超音波による甲状腺検査は長きにわたって継続し、小児甲状腺癌のリスクが、放射線被曝によって族化するのかどうか見極める必要があります。
過剰診断・過剰診療を避けるために、超音波検査や穿刺細胞診、手術に関する現在のガイドラインは 遵守されなければなりません。




福島県の甲状腺検査をめぐり、経過観察となった患者のデータは把握していないと説明していた福島県立医大が、小児甲状腺がんの「症例データベース」を構築し、福島医科大で実施していた手術の全症例を登録していることが、OurPlanet-TVの取材でわかった。

詳細はこちら http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1556





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