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12.04
Sun
井野博満・東大名誉教授(金属材料学が専門)の「脆性遷移温度」(98℃の水が原子炉にかかると、破断する危険性がある)について以前小出裕章さんがラジオ(たねまきジャーナル)で説明されていました。
その部分を抜粋しました。

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圧力容器は金属です鉄でできている。
鉄というのは叩けばへっこむし、曲げようと思えばある程度曲がる。

そういう意味ではガラスとは全然違います。
ガラスは叩けば割れるし曲げようとしても割れる。

鉄も中性子という放射線を浴びていくと どんどんもろくなっていくという性質があるのです。

鉄は私達が普通に生活している常温の20度、30度であれば叩いても割れないし、
引っ張っても簡単には切れないし、曲げればのびるものですが、

鉄は中性子という放射線を浴びていくと、どんどんもろくなっていってガラスに近づいていきます

中性子を浴びているうちにガラスのようになってしまう温度がどんどん上がってきて、普通の温度でも鉄自身がガラスのようになってしまう。

普通原子炉が動いている時は200何十度という温度ですが、
もし、何かトラブルがあって原子炉を冷やそうと外から冷たい水を入れる。

圧力容器と言われている鋼鉄の容器がガラスの様な状態になっているところに水を入れてしまうと壊れてしまうという事になる。

壊れるという、壊れ方が・・あの・・パーンと割れてしまう
ガラスのパリッと割れてしまう。あの感じ。

割れてしまうと水が抜けてしまって原子炉を冷やせなくなるので、原子炉がメルトダウンすることが避けられなくなる。

それ以降どういう挙動を取るかという事はまだよく分かりません
格納容器が壊れてしまえば大気中に出てきますし、格納容器の底に穴があけば地下にめり込んでいく。

いずれにしても環境に放射能が漏れていく。


原子炉というのはまだまだ新しい領域の技術です。
1954年に一番最初に商業用の原子力発電所がソ連で動き始めて、57年に米国で動き始めて、それから初めて原子力発電というものをやり始めた。

「一体何年もつのだろうか?」と初めから考えたのですけれども、
「ま、40年だろうな」と思いながらきたのですね。

40年本当に持つかどうか?
原子炉の中に試験片を入れて、鉄がガラスに近づいていく事をずっと調べながらきている。

当初は40年だと思ってたけれども「まだ大丈夫じゃないか」ということで、
今寿命を延長して日本でも既に40年を経て動いている状態です。
でもそれは、安全性を少しづつ食いつぶしながらきているという事です。



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