内部被曝に迫る ~チェルノブイリからの報告~(内容全部書き出し)

NHKの番組です 2011/8/6放送


私は、最初の放送とBSでの最終回と
両方観ました

内容を書き出していて改めて思いました
とてもいい番組です





内部被曝に迫る ~チェルノブイリからの報告~

内部被曝に迫る ~チェルノブイリからの報告~ from open_box on Vimeo.



続きを読むに内容書き出しました






福島の原発事故から5カ月
住民たちは目に見えない放射能と隣り合わせの生活を余儀なくされています
特に実態のつかめていない内部被ばくの不安が高まっています


あっ!振り切りました(19,99μシーベルト)
振り切ってますよ。で、オーバーってところに出ていますから

住民:
我々は被ばくしていないんですか?内部被ばく


内部被ばくはね。測ってみないとわからないんで・・・

ーーーー原子爆弾障害者研究会(広島)


しかし、内部被ばくについて分かっている事はまだ、ほんのわずかです
専門家による本格的な研究も今始まったばかりです


長崎大学教授:
放射線セシウムについては今なお、よく分かっていません

広島大学教授:
内部被ばくはですね、まだなおその影響が必ずしも全部分かっていないと言うのがありますので
今後健康影響に関する研究というのは重要になってくると思う

ーーウクライナ

原発事故から25年が経ったチェルノブイリの周辺地域
去年の4月から日本とウクライナの研究者が共同で調査を始めまていました
住民が食べている食材は今も高いレベルで放射能に汚染されていました

検査員「地さな原子炉並みだ」(キノコの検査結果)

ウクライナの住民はその汚染の実態をほとんど知りません


彼は、彼の奥さんも食べない方がいいレベルです
もちろん、お子さんにとってはこれはものすごく危険なレベルです

最新の研究では放射性物質が健康にもたらすメカニズムも少しずつ明らかになってきました
チェルノブイリの汚染地帯を舞台に内部被ばくの研究に挑む科学者たち
その最前線からの報告です

内部被曝に迫る~チェルノブイリからの報告~


ウクライナ、ジト―ミル州
チェルノブイリ原子力発電所から西に70キロ
立ち入り禁止となった30K圏の外側にある地域です
放射線衛生学者の木村真三さん(独協医学大学准教授)は
放射能の健康へのリスクとその対策を研究する日本でも数少ない専門家です

世界各地の汚染地で調査をしてきた木村さんが今取り組んでいるのは
研究が遅れてきた内部被ばくの実態解明です
木村さんはその舞台として州北部の農村地域にある
ナロジチ地区に目を付けました
事故当時は放射能に汚染されたものの70キロと離れていたために
地区の8割以上が強制退去の対象となりませんでした

ここでは事故以降も1万人の住民が事故以降同じ条件下に住み続けた事になります
木村さんは内部被ばくの研究にこれほどうってつけの場所はないと考えています

木村:
これは空間線量率で今0,1μシーベルト/h位ですから、比較的低い地域ですね

・住民の方なんかもいらっしゃいますね

木村:
住民の方々が住まわれても空間線量率だけで言えば、
十分平気な、安心して住める場所だと言う事が出来ます

事故当時のナロジチ地区は
旧ソ連が負担して強制移住が行われた第1ゾーン
移住を義務付けられたもののソ連の崩壊によって多くの人が残されている第2ゾーン
希望すれば移住の対象となる第3ゾーン
移住の対象にならないその他の地域に分類されていました

木村さんは人が住んでいる中で最も汚染度が高い第2ゾーンの村にむかいました
空気中の汚染が低下した現在、
懸念されるのは住民たちが食べ物や飲み物を通じて放射性物質をとりこみ内部被ばくする事です

ナロジ地区は農村が大部分を占め、大半の家が自分の畑でとれる野菜や
自然に取れる植物などで自給自足をしています
村でもっともよく食べている食材を住民に教えてもらいました

「キノコよ。いいにおいでしょ」

おおーすごいいいにおいだな
これ、どこでとれたんですか?

「川の向こうの森よ」

このあたりの家ではそこも同じような食材を同じように料理して食べているといいます

エミール・ナーシクさん:
「これは去年とったキノコです」

すごくいっぱいありますね

エミール・ナーシクさん:
「ここに住んでいる人は誰だって森で採れるものはなんだって食べています」

ナーシクさん一家は2歳と5歳の二人の娘がいる4人家族
妻のアナスタチアさんが作っているのはウクライナの伝統的な家庭料理です

ペチェーニャと呼ばれるこの料理の材料は自分の畑でつくったじゃがいもと近くでとれるキノコです

祝い事の時以外に肉を食べる余裕のないこの地域では、
こうした食物が貴重な栄養源になっています

夫のエミールさんは放射能の汚染を恐れて
子ども達にはあまり沢山食べさせないようにしていると言います

エミール・ナーシクさん:
不安はもちろんありますが、あまり考えないようにしています

アナスタチアさん:
ここに住んでいる人たちの中にも健康な人は沢山いますから

エミール・ナーシクさん:
私達はともかく、将来子ども達に放射能の影響が出ないか心配しています

放射能の人体への影響は大きく2種類あります
身体の外から直接放射線を受ける外部被ばく
そして、食べ物や飲み物を通じて起こる内部被ばくです

体内に取り込まれた放射性物質は胃や腸から吸収され血液とともに体内を巡回します
身体から排出されるまでの間被ばくが続く事になります

ナロジチの住民の健康に内部被ばくは関係しているのか
木村さんは住民の健康状態を調べるため地元の病院に協力を仰いでいます

60年以上前から1万人の健康管理を行っているナロジチ中央病院です

木村:
何時頃から調子が悪くなったんですか?

患者1:
5年前から体調がすぐれなくなり病院に通うようになりました

木村:見かけ身体もすごく頑丈そうに見えますが
心疾患になるような原因というのは何か自分で想像できるようなことってあります?

患者2:ありません

木村:
タバコとかお酒とかは?

患者2:
いいえ
ここ20年位は鮭もタバコもやっていません
私の病気が放射能の影響なのか、精神的ストレスなのか
それともその他に原因があるのか、悲しい事に全く分かりません

体調の悪化が内部被ばくによるものかどうかは個々のケースを詳しく調べる必要があります
この病院には大量のカルテが保存されていますが
そのほとんどが未整理です
木村さんはこのカルテのデータを日本に送って分析
その結果、心臓に疾患を抱える人の割合が事故前の6倍に増加し
地区住民の3人に1人にのぼっている事が分かりました

マリア・バシチューク(ナイロジ地区病院、院長):
私たちの実感としても心疾患、癌などにかかる人が
事故前に比べて大きく増加しているように思います

この病院を訪れる患者の中で木村さんが特に注目しているのが
体調の悪化を訴える子ども達です

事故の後に生まれた子ども達は外部被ばくを受けていないので
放射線の疾患があればそれは内部被曝である可能性が高くなります


医者:
この子は慢性疲労を訴えています
血液検査では白血球の値が基準より低くて
それが眠くなったりよく風邪をひいたりする原因だと思います

少女「立っていると突然強い疲労感がおそってきて、座りこんでしまう事があります」


この11歳の男の子は
免疫力が低下し、急激な疲労感に襲われるという症状に悩まされていました

木村:
お母さんから見てどうですか

母:
いつも眠いみたいなんです
疲れが抜けず学校から帰ってきてもすぐに横になって
友達と遊びに行くのも辛いと言います

子ども:
だって、毎日 心臓と頭が痛いんだ

院長:
体調不良を訴える回数が何1,2回から次第に増えていくんです
そして、その後心臓の病気につながるケースをこれまで数多く見てきました
放射能の影響なのか、他に原因があるのか
残念ながら私達にもはっきりした事は分かっていません

今から25年前、チェルノブイリの原発事故は広範囲にわたってヨウ素セシウムなど
多くの放射性物質をまき散らしました
そのご、子ども達の内部被曝が問題化
心疾患や白血病などその内容が疑われましたが
調査が進んだのはヨウ素が原因の甲状腺癌だけでした
そのほかの病気は内部被ばくとの関係が明らかになりませんでした
結局IAEA国際原子力機関も子どもの甲状腺がんの実を認定
内部被ばくの影響調査の難しさが改めて浮き彫りになりました
内部被ばくは他にも様々な疾患を引き起こすと考える木村さんは
病院からの紹介である患者を尋ねました

スベトラーナ・ディードフさん41歳です
心臓に原因不明の疾患があり、たびたび激しい動機に悩まされています

スベトラーナ・ディードフさん:
これが私の心電図です


スベトラーナさんは9年前、突然心臓の発作に襲われました
心電図で調べたところ心臓の筋肉に異常が起きている事が分かりました

スベトラーナさん:
体調は良くないですね、ちょっとした事ですぐに疲れてしまいます
時には誰かに助けてもらわないと歩けない事もあります
お医者さんは具体的な原因については全く分からないと言います

スベトラーナさんはナロジチ地区に生まれ育ち
チェルノブイリ原発事故が起きたのは16歳の時でした
その直後汚染されていない地域に移り住み、21歳でナロジチに戻りました
それから11年後に心臓発作に襲われるまで全くの健康で
両親、兄弟など近親者に心臓を患った人もいません

スベトラーナさん:
突然、心臓が焼けるように痛くなったり、激しい動悸に襲われたのは
30歳を過ぎたころです
その他にも腕に細かい斑点が見られるとか
放射線被ばくでみられる症状があります

木村:今現在、どういう感じでしょうか

スベトラーナさん:
1年ほど前から急に疲れやすくなりました
身体が動かない事もあります

細かい斑点や突然の疲労感
木村さんは事故から25年経った今もこういう症状が出ているのは
食物を通じたその後の内部被ばくによるものではないかと考えています

スベトラーナさんは木村さんに
ナロジチから1時間はなれた町にある専門機関で減差を受けることを勧められました
ホールボセィーカウンターという機械で体内に取り込まれている放射性物資の量を測ります

院長:許容量は超えてないから
今のところ大丈夫でしょう

スベトラーナ:問題ないんですか?

院長:でも、セシウムが確かに出ています。にとまず許容量内ですが

スベトラーナさんの体内からは1980ベクレルの放射性セシウムが検出されました
日本人の体内からは通常であれば全く検出されないはずの値です

元素番号55番のセシウムは28度を超えると液体となる
毒性の少ない物質です
一方、放射性セシウムは原子炉などでウランが核反応をおこす際に作られる
通常自然界には存在しない物質です
一度環境中に放出されるとベータ線やガンマ線といった放射線を出しながら崩壊を続けます
半分が崩壊するいわゆる半減期は30年
いったんセシウムが体内に入ると、どんな健康被害を引き起こすのか
その影響は明らかになっていません

木村:
今現在では、まだまだ、データとしても少ないし
その現象というのもほんのわずかしか見えていない
長期内部被ばくの影響というものを伝えるっていうこと
証明していくということは非常にこれから長い年月をかけていくしかないかもしれない

66年前に原爆が投下された日本では世界に先駆けて被ばく医療の研究がはじまりました
しかし、内部被ばくの研究はほとんど進んでいません
被ばく地広島、長崎では強烈な放射線を外から浴びる外部被ばくの対応に追われ
激しい症状がすぐ出る訳ではない内部被曝についてはほとんど目が向けられなかったのです

その現場で内部被曝と考えられる症状にいち早く気付いた医師がいます
広島陸軍病院の元医師、肥田舜太郎さんです
原爆投下直後から半世紀以上にわたって6000人を超える被ばく者の診察を行ってきました
その中で直接原爆の放射線を浴びていないにもかかわらず
体調不良を訴える例を数多く目にしました
こうした症例は放射線の被害だとは全く考えられていませんでした


肥田舜太郎医師:
原爆を受けてないって自分で言う人が
何となく体の具合が悪いと言ってくる
で、一生懸命診てみても、俺が見落としているかどうかは分からないけども
病気があるとは思えないと。俺たちの知ってるね。
だから、なんかあるね、何かあると
しかしまだ俺達には想像もできないと


1954年、ビキニでの水爆実験がはじめて、内部被ばくを世界に知らしめることになります
日本でもセシウムで汚染されたマグロなど
食物汚染が広がり、人体への影響を懸念する声が高まりました

こうした危惧を背景に、ようやく内部被ばくの研究がスタートします
全国の国立大学で放射性物質の性質や体内から排出される器官など
基礎的な研究が始まりました

この頃肥田さんは慢性疲労や脱力感を伴う症状が
内部被ばくの影響ではないかという報告書をまとめます
この症状に、当時広島で呼ばれていた「原爆ぶらぶら病」と名付けその被害を訴えました

現在ナロジチの子ども達に起こっているのと似た症状です

肥田舜太郎医師:
「先生、俺腰かけダメなんだ」って腰かけ降りて、向こうであぐらかいちゃうの
ぼくがこうやんないと(前かがみ)話しが出来ないんですね
そしたら、「先生、もうだめだ」って言って
あぐらから今度は横になってね、床にこうなっちゃう(ねちゃう)
それが、だるさなんです
それで、初めてね
これ、怠けてやってる訳じゃないと、
その人の人生の中にね、内部被ばくの影響が、どんな風に表れていったんだろうかと
片鱗だけどもつかめれば、とてもありがたいと思っている

しかし、ぶらぶら病は内部被ばくの症状として認められませんでした
症状を引き起こすメカニズムが分からなかったためです

内部被ばくの研究には長期にわたる生物実験が不可欠ですが
成果はなかなか上がりませんでした
70年代以降、費用対効果が問題となって研究は下火になり
この10年、生物への影響をみる実験はほとんど行われなくなりました

神谷研二さん(原爆放射線医学研究所、所長):
内部被ばくの研究は日本だけではありませんで
世界中に、今、内部被ばくの研究を精力的ところは
もう、極めて限られていると思います
なかなか、その、今すぐ必要だという段階ではなかったものですから
研究費を申請してもなかなか通らない
あるいは、研究に対して経費がかかりすぎると言う事で
一般の科学研究費では維持するのが難しいんですね

ウクライナのナロジチで暮らすナーシクさん一家です
この日、健康診断を受けに中央病院を訪れました
住民には年に一度無料で健康診断が行われています

健診内容は一般的な問診や
簡単な血液検査など           
内部被ばくの測定は機械が故障した6年前から行われていません
この日の検査では二人の子どもと妻のアナスタシアさんは
問題無しとされました

以前体調不良を訴えた事のある父親のエミールさんも、
血圧が少し高かったものの心電図などには異常が見当たらず
問題なしと診断されました。

アナスタシアさん:
夫は実は、5年前に心臓の調子が悪くて、病院で精密検査を受けたんですよ

エミールさん:
その時は心臓がチクチクしたんだ
でも、原因は「分からない」って言われました
今日も「問題ない健康です」と言われましたが
不安がなくなる訳ではありません。


ナーシクさん一家に内部被ばくの可能性はないのか
ナロジチに唯一ある保健所に一家が日ごろ食べているキノコを持ちこみました

検査員:
これは大きな値ね。ちょっと計算してみて

結果は1K当たり11万6千ベクレル
ウクライナ政府が食品に対して定めている許容量の30倍に当たります

木村:すごい高い値じゃないですか

検査員:驚くべき量の放射性物質に汚染されていますね
小さな原子炉並みです

事故から25年経った今も汚染が続いているナロジチのキノコ
このキノコが生えている地域を観測するために
木村さんはナーシクさん夫婦に、キノコを採っている森へ案内してもらいました

木村:ほら、ここでもう、5μシーベルトを超えているでしょ
25年経って5μっていうのは、あるということ自身が驚異的な放射能レベルですよね

これは周辺の畑と比べて30倍の値です
この森は地元でよいキノコが取れることで知られ
住民の多くは、ここでとれるキノコを売り家計を賄っています
わずか2時間でバケツ一杯の木の子が収穫されました

木村:
調理方法なんですが、やっぱりその、煮汁を一回捨ててもう一回やるのか

アナスタシア:キノコは塩ゆでにして煮汁を捨てています
エミール:そうすれば放射能が洗い流されると聞いたからです

木村:そういうのはどこで聞いたんですか?

エミール:知り合いがそうすれば大丈夫だって教えてくれました
放射線計測機は高くてとても買えません

この森の汚染原因を調査するため木村さんが協力を求めたのは
ミコライ・ディードフさん(国立ジトール農業生態大学)です
ジトーニル州の国立大学で放射線生態学を研究し、
ナロジチ地区で環境中の放射能の測定を続けてきました
今回二人は、畑、牧草地、森の3つのポイントを比較して土壌の汚染具合を調べました
調査の結果です。
地上から10センチの表面部分の汚染を比較すると、畑や牧草地よりも
森の方がはるかに高い事が分かりました

図1


リードフさんやウクライナの研究者はこうした調査を繰り返し
森の汚染度が高くなるメカニズムについて論文を発表しています
事故の時に森に降り注いだセシウムは
やがて地表に落ちてきます
この地域はどお場が粘土質のため、セシウムは土の中に染み込んでいきません
土壌中のセシウムは木の根から吸い上げられ、葉に集まります
こうした森の葉にセシウムが集まっている事が計測実験で明らかにされています
葉が地面に落ちると腐葉土となり、地表に再びセシウムが供給されます
こうした循環が25年間繰り返されていると言うのです

木村:そのナロジチ自体の、この表層汚染が続いていると言う事が
食物汚染との関係についてはかなり、効いてくる事なんですか?

ミコライ・ディードフ:森の表面の汚染については25年経った今も
想像以上にセシウムが残されています
夏には生で、冬には乾燥して、キノコは一年中食べる事が出来ます
森で採れたものを食べ続ける限り、内部被ばくの可能性は高いでしょう

木村さんはディードフサンにナンシクさん一家の食事に含まれる放射性物質の測定を依頼しました
陰膳法と呼ばれるこの方法では
家族が食べる料理を、全て一人分多く作ってもらい
その中に含まれるセシウムの量を計測します


ミコライ・ディードフ:この方法だと、人々が日常の食事で
実際、どれくらい放射性物質を取り込んでいるのか、推定することが出来ます


日本のように食事の内容が人によって毎回異なるのと違い
毎食、同じような料理であるナロジチでは、
短期間の調査でもおおよその傾向がつかめます

計測の結果は驚くべきものでした

図2


キノコを使った料理だけでなく
トマトを使ったサラダや黒パンなど
全ての食品からセシウムが検出されたのです
木村さんはこの分析結果を持ってナーシクさん一家を訪ねました

ナーシク:調査の結果を伝えにきてくれたんですね
これは多いんですか、少ないんですか?

木村:これはとても多いです

この食事を毎日一年間続けると、
計算の上では国が定める年間許容量の20倍もの内部被ばくをすることになりますう

ナーシク:一切食べてはいけないと言う事ですか?

木村:彼や彼の奥さんでも食べない方がいいレベルです
もちろん、お子さんにとっては、これはものすごく危険なレベルです

ナーシク:この数字がどのくらい危険なものか私にはよく分かりませんが
あなたが言うのなら相当悪い結果ですね
言葉もありません

木村:できれば、ホールボディーカウンターというので、被ばく線量とか
そういうものを調べて欲しいと言うのがぼくの願いです

ナーシク:妻と相談して決めようと思います


福島の原発事故以来、内部被ばくの危険性が現実のものとなった日本
事故から3カ月後の今年6月
ナロジチから帰国した木村さんの研究に協力するため
分野の垣根を越えて専門家たちが集まりました(チェルノブイリ健康影響研究会)
放射線物理のエキスパート(今中哲二先生)、
環境医学の第一人者
そして広島、長崎の原爆被害の研究者から
医療統計の専門家、
心疾患の臨床医まで、第一線で活躍する研究者たちです
会議ではナロジチのセシウム汚染のレベルや
内部被ばくが疑われる疾病の現状などが報告されました
こうした情報を基に人体への影響が議論されましたが
必要なデータが不足しているという声が上がりました

細胞薬理学者:あの、ちょっと感じるのは細胞の中にどれくらいの(放射性物質が)たまってんのかな、っていうデータがちょっと欲しい感じがするんですがね

木村:非常に難しいじゃないですか
これをどうやったら追っていけるかというところが
ぼくも見えてこないんですよ

衛生学者:食事の問題とか喫煙の問題とか、データをもっともっと集めてくる方向で
でも、結構時間がかかるだろうな。という

ナロジチでの調査は、木村さんが専攻する環境リスクについては有効でしたが
人体にどう影響するか
そのメカニズムの解明にはまだ届きません


木村:さまざまな、いろんな人の知恵を借りて一つの物に持って行くというのが
この道の、放射線への影響というものを解明していく一番の重要な課題であると思います


なかなか研究が進まない内部被曝の人体への影響
その中で数少ない先駆者に光が当てられています
そのパイオニアのひとり、大阪大学名誉教授 野村大成さんです(医薬基盤研究所 大阪)
野村さんが注目しているのはセシウムなどの物質が出すベータ線です
マウスにベータ線を出す放射性物質を注射したところ、生まれた子どもの細胞に異常が見られ
突然変異で毛の色まで変わりました

図3
   

細胞の異常は将来様々な病気につながると考えられています
このベータ線はセシウムが出す2種類の放射線の一つです
遠くまで届く一方で弱いガンマ線に対し
ベータ線は周囲1センチに強い影響力があります

図4


そのため、セシウムを体内に取り込むと、このベータ線の影響で
すぐそばにある臓器や細胞にダメージを与えている事が考えられます

図5


野村大成:個体レベルでやっていくと、結構な高い頻度で
ベータ線というのは細胞の組織に障害を与えるという
人でも当然そういう事は考えられると思います

ウクライナでも内部捕縛の健康被害に対して
最近新たな仮説を発表した研究者がいます
(放射線医学研究センター ウクライナ)
ナロジチなどでの子どもの診察を20年以上続けてきた
放射線医学研究センターの教授エブゲーニヤ・ステパーノバさん(放射線医学研究センター教授)です
ナロジチに住む子ども達の血液を調べ
非汚染地域に住む子ども達に比べ、細胞内のミトコンドリアに
より多くの異変が起きていることを明らかにしました
論文「長期低線量被ばくによる児童のミトコンドリア機能障害」

エブゲーニヤ・ステパーノバ:見て下さい
これは破壊されたミトコンドリアです

図6


ミトコンドリアは体内で細胞の働きを助けるエネルギーを供給する器官です
ミトコンドリアに異常が起きると細胞死につながったりエネルギー代謝に支障がでたりすることが
これまでの研究で分かっています
ステパーノバさんはナロジチの子どものミトコンドリア変異は
内部被ばくの放射線の影響であり、慢性疲労、無力症など
さまざまな疾病を引き起こしているのではないかと推定しています

エブゲーニヤ・ステパーノバ:子ども達の体に起きている異変が、
全部このメカニズムによるものだとは言い切れません
これは、いくつものメカニズムの一つにすぎないのですから
日本の子ども達には、我が国のようなことが起こらないよう願っています
心からそう思っています


セシウムが出すベータ線が引き起こす細胞の障害
そして、ナロジチの子ども達に起こっているミトコンドリア変異
木村さんは体内の取り込まれたセシウムがどのように蓄積されるのかを調べる事が
その二つの事を繋げるカギになると考えています
木村さんはリードフさんに一つの実験を依頼しました
人間の臓器を使って調べるのは難しいこの実験の対象に選んだのはブタの臓器でした

これなんですか?

これはじゃないもです

それはここの地域で、畑で採れたものですか?

この豚はジャガイモや小麦など私達と同じものを食べています


地元の住民と全く同じものを食べてきた生後8か月のブタを解体します
取りこまれたセシウムが血液とともに全身をまわる事は分かっていますが
臓器への影響は分かっていません
この、ブタの臓器を分析することで、セシウムの蓄積を調べ、
人間の体内で起こるメカニズムを推測しようというのです


ブタの臓器は人間に似ています
俳優のシュワルツネッガーさんも移植したそうですよ


摘出された臓器は日本の研究機関に持ち込まれました
長崎大学の高辻俊宏さん(長崎大学 准教授)はチェルノブイリに20回以上足を運んだ放射能測定のエキスパートです
心臓の計測をはじめてわずか3分


あっ!このバーみたいなのが
これ間違いないね。セシウム
これ、セシウムですね
うんうん

木村:ブタの心臓から、セシウムが今検出されている

図7


日本でセシウム汚染が疑われるものを計測する時
通常は結果が出るまで丸一日かかります
すぐに検出されるほど高いレベルで放射性セシウムが心臓に蓄積していたのです

高辻俊宏:普通こんなのは出ないレベルではある
生物っていうのは必要のないものは取り込みませんから
セシウムというのはほとんど必要のない元素なので
こういうような値が短時間に出るというのは、異常であることは確かだと。


さらに他の臓器にも高いレベルでセシウムが蓄積されているのが確認されました

図8


木村:社会でもし、人間の臓器を取り出して見ることが可能であったら
もしかしたら、こんなふうになるんじゃないかというような推定にはなりますよね。
その、今まで想像されていなかった、推定されていなかった
疾病との因果関係が見えてくる可能性がある事だと言う意味では
重要な調査の一条にはなると。


広域医療診断センター コロステン

ナロジチに暮らすナーシクさん一家です
妻アナスタシアさんの希望で、木村さんの勧めた内部被ばくの検査に4人で訪れました
まずは、父親のエミールさんです

医師:あなたの体には許容量を超えた放射性物質があります
58000ベクレル
許容量よりはるかに高い値です

エミール:値はどれくらい悪いのですか?

医師:非常に危険な値だと言う事です


この数値はウクライナ政府が定める許容量の3倍を超えています
アナスタシアさんも24000ベクレルと、許容量を上回りました
2年前出産の際の病院で測った値の5倍に増えていました

図9


続いて娘のマジーナさん
ホールボディーカウンターを受けるのは初めてです

図9-1


結果は7000ベクレル
子どもの許容量をわずかに下回ったものの
決して安全とは言い切れない量です

エミール:娘は許容量以内ですよね

医師:ひとまず安心です


まだ2歳で食べる量の少ないユリアーナさんは
基準を下回る安全と言われるレベルでした


医師:あなた方一家には精密な検査をお勧めします
医師と相談して下さい

エミール:覚悟はしていたものの、まさかこんなことになるなんて
今は何も考えられません


ナーシクさん一家はナロジチでこれまでと同じ生活を続けていく限り
今後も内部は獏を重ねていくことになります

チェルノブイリ原発事故から25年
内部被ばくについて科学的に分かっている事はまだ多くありません
大地に一度降り注いだ放射性物質は
四半世紀たった今もなお人々の生活を脅かし続けています







<消されるかもしれないので、もうひとつUP>

20110806 “内部被ばく”に迫る... 投稿者 PMG5

関連記事

コメント

非公開コメント

おつかれ

文字おこしは根性です。
私も、放射能嫌なので、文字おこし。

検索にひっかかり、核を使おうという人は居なくなる・・

No title

いつもありがとうございます
児玉龍彦さんを毎日新聞で知って以来、毎日みさせていただいてます。
丁寧な文字おこしに、感謝しております。