・野田総理のアメリカでの発言について
・原子力発電は本当に安いのか
9月21日水曜日
京都大学原子炉実験所小出裕章助教に聞く
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
<参考>
野田総理が
米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに答えたニュース
東京新聞の記事とANNニュース
原発発電コストに関して
「発電コストが一番安いのは原子力発電」は本当か?
↑5月のモーニングバード放送ですが動画は消えていました。
内容書き出しではありませんが、説明が書いてあります。
原子力政策大綱見直しの必要性について─費用論からの問題提起─
2010年9月7日 立命館大学国際関係学部 大島堅一
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東京からは近藤さんです
水野:
今日は、まっず、アメリカを訪れています野田総理の発言に対してなんですが、
アメリカの新聞のインタビューで
「定期検査で停止中の原子力発電所は来年夏までに再稼働させる方針だ」といっております
これはですね、夏の電力受給を考えると原発再稼働が必要だという意味のようなんですが
小出先生、これは小出先生が昨日おっしゃいました
「今すぐ原発全部を廃炉にしても電力不足にはならない」とおっしゃることと
真っ向から対立することではないかと思いますが
新しい総理のこうしたお考えにどう感じられますか?
小出:
私はもともと自分でデータを持っているのではなくて
政府の統計局のデータに基づく限り
原子力発電所を全て全廃しても電気は足りると主張しています
水野:はぁ~
小出:
野田さんのおひざ元のデータで私はものを言っている訳で
それを覆すようなことを言うのはどういう事なのかな?と私は思います
水野:政府が出しているデータから考えた結果を小出先生はおっしゃっている
小出:そうです
水野:
じゃぁこれはどうでしょうか、
東電の社長の見解は、
「原発を稼働させるその率が低ければ、電力料金を値上げせざるを得ない」と
言うような話をしてはります
これについてはどうです?
小出:
あきれた話ですね
今回の福島第一原子力発電所の事故で一体どれだけの被害が生じるのか
それを、もし、電気料金に上乗せするとしたら、一体どれだけの上乗せになるのか
まずは東京電力の社長に考えて欲しいと思います
水野:
ただこれまでよく言われていました「原発は安いエネルギー」であると、
コストが非常に安いと言われておりました
これについてはいかがでしょう
小出:
それがもともと間違えていたという事を昨年でしたが立命館大学の大島堅一さんという方が
電力会社の実際の経営データ
有価証券報告書に基づいてすでに立証して下さっていますので
その議論も、もうする必要がないと思います
水野:もうデータで実証されていると
小出;原子力が一番高いです
水野:えっ!他のものより高いんですか?
小出:
高い。並ぶのではなくて一番高いというデータが
もう、立証されてしまっています
水野:
えーー、
昨日小出先生とお話ししていた時におっしゃったのは
原発を止めたら電力料金が下がるとおっしゃったと思うんですね
私あの後ずっと気になっていたんです
電力料金が普通上がるとみなさんお思いだと思うんですよ
小出:そうですね
水野:電力料金が下がるというのはどういう事でしょう?
小出:
一番高い発電方法を電力会社が好んで使ってきた結果が今になっている訳で
原子力発電という一番高い発電方法を止めれば、もちろん安くなります
水野:
だけど、火力発電にすれば、石油をもっと買わなければいけない
そのコストをどうするんだという話がありますよね
小出:
もちろん、燃料費は払うのですけれども
その燃料費を計上してもなおかつ火力発電は原子力発電よりも安いのです
水野:
近藤さーん、
このコストの話しを近藤さんはどう見てはりますか?
近藤:要するに、あの先生ね、揚水式っていうのがありますよね
小出:あります
近藤:これが、結構僕はキーワードなんじゃないかなって思っているんですが
小出:そうですね
水野:それは水力発電の一つのタイプですね。揚水発電
近藤:
これは要するに水力発電所が原子力発電所の夜間電力を使うという
ただそれだけのために作られたと、
先生の本に書いてあるんだけど(笑)
小出:そうです、そのとおり(笑)
水野:
そうですね(笑)
つまりたねまきジャーナルで今まで皆さんで議論して、それに答えをしてきて下さった
小出先生のご本にその話出てきますね
近藤:
これで、つまり・・
先生、ここんところもうチョット分かりやすく説明していただけますかね
小出:
はい。
今近藤さんが指摘くださった揚水発電所というものは
原子力発電所で余った電気を使うため、のみに作られた発電所だというふうに
私は主張してきたんですね
その事を近藤さんは今、おっしゃってくださって、
その揚水発電所というのは、殆ど動かないのですね。
要するに原子力発電所の電気があまってしまった時だけ動く訳ですから、殆ど動かない
で、建設費はそれなりにかかっているわけですから
発電単価がべらぼうに高いんです。揚水発電所の発電単価は。
それが、原子力発電をやるためにそんな発電方法が必要になっているのですから
それも原子力発電の発電単価に上乗せすると、
原子力発電の発電単価はさらに高くなるという事になります
水野:
へぇー、
じゃぁ、今までの計算方法では、本来必要なコストは乗っけられていなかったという事ですか
小出:
揚水発電のコストなど全くのせられていませんでした
ただ、それをのせなくても、なおかつ原子力は高いんですよ
水野:
そうなんですか!?
小出:
揚水発電の単価を考えないにしても、それでも原子力発電所の単価は
他のどの発電単価よりも高いです
水野:えー!!
リスナーの方がFAXをくださっていまして
「原発については、地元への交付金、あるいは核のゴミを運搬したり保管したり、処理したりするのに
経済的にもメリットはないでしょうに、
なんで、原発に熱心なのか小出先生教えて下さい」
って、
小出:
私はその方がおっしゃったとおり、何でこんな馬鹿げたことをやるのか
私にも実は分からないのです
水野:経済的にもメリットはないんですか?
小出:
ありません。
ただし電力会社は儲かるという仕組みがありました
水野:何で電力会社が儲かるんですか?
小出:
電力会社というのは電気事業法で電気代を決めると書かれているので
どんなに高い電気代でも売ることが出来ました
そして、高い発電所を作ってしまうとそれだけで利潤が膨れ上がるというような
電気事業法の定めがあったのです
水野:
原発でそんなふうになっているんですか
いくらコストが高い、コストがかかる電力を発電しても
充分に儲かるような仕組みになっているんですか
小出:
そうです
電気事業法という法律がそうなっていたのです
水野:
はぁー、じゃぁ、そこを変えないと
コストの問題というのは前に進まないという事ですか?
小出:
でも、もう、
歴然と原子力が高いという事は分かっているんだし
電力会社の経営陣としても正常な経営感覚があれば
原子力から撤退するべきだと私は思います
水野:
損得を考えても原発から撤退したほうが得じゃないかと言うのが
小出先生のお考えだという事ですね
小出:そうです
水野:
でも、東電の社長は先程もご紹介したとおりに
原発を稼働する率が低かったら電力料金は値上げだと
言ってはるわけで、
これは全く小出先生の考えとは矛盾していますね
小出:そうですね
水野:なんでなんですかね?
小出:東京電力の社長にちゃんと説明して欲しいと私は思います
水野:はぁあ~
一つご紹介したい数字がございます
九州電力の玄海原発がある佐賀県の玄海町です
ここで、原発を廃炉にした場合、町の財政はどうなるかということを
計算を今、試みでやっているんだそうです
で、その中で今明らかになっている数字が一つありまして
この町の一般会計の今年度の予算が57億円なんですけどね
そのうち原発に絡んで入ってきているお金の額が39億円以上で
およそ70パーセントが原発に絡むお金なんです
で、近藤さーん、
私、この70パーセントで非常にびっくりしたんですが
近藤:ビックリだよね。こういう事がまかり通っているんだよね
水野:でね、
この57億円というのを、他の町と比べたらどうなのかというのをスタッフが調べたんですね
大体同じぐらい、57億円規模位の町を探しましたらね、
宮城県の蔵王町って、大体同じぐらいの規模なんですよ。予算が。
そこが、人口が、玄海町の倍ほどいはりますね。
玄海町というのは6300人の町民の 大体、規模なんですよ
そこの倍ぐらいの町で同じ予算
ま、つまり、玄海町では一人当たり倍ぐらいのお金が、
今使えることになっているという事が言えますよね
ちょっと、びっくりしませんか?
こうしたお金は今まで言われていた原子力発電のコストに
小出先生、含まれた計算だったんですか?
小出:
今まで経産省がやってきた計算には全く含まれていませんでした
それを、先程聞いていただいた立命館大学の大島、含めてみました。
そしたら、原子力が一番高いという事になりました。
水野:
はぁ・・そうなんですか。
じゃぁ、これからはやっぱり、
このコストの問題も含めて私達は色々と選択していかなければならないという事になるんでしょうね
小出:そうですね
水野:
それから、先程近藤さんが話を出されました
小出先生のご本のタイトルは、申し上げておきます
「知りたくないけれど知らねばならない原発の真実」という本です
これについては皆さんがいろんなコメントを寄せて下さっていますけれども
小出先生、リスナーがね、こういう事を言ってくれています
「たねまきジャーナルが聴き手という本が出ているという事は、
リスナーからの質問に小出先生が色々と解説してきて下さったことが本になったという事で
つまりこの本はリスナーとたねまきジャーナルと小出先生が一緒に作ったという事になりますね」
とおっしゃって下さっています
これからも、皆さんがお聞きになりたい事を、
私たちスタッフが代表になってお聞きして生きたいと思っていますが、
また、原発のコストについてもいろいろと教えて下さい
今日はありがとうございました
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