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09.23
Fri
矢ヶ崎克馬氏が学校疎開の訴訟を支援しました。


矢ヶ崎氏の意見書です
09237.jpg

東電福島原発の事故では、チェルノブイリの放射能汚染を凌駕する放射能汚染が展開しています。
初期に放射性ヨウ素が噴出した時にも、
政府は子どもたちの甲状腺を保護するヨウ素剤の支給などの内部被曝を阻止する措置を取りませんでした。
放射能汚染の程度は直ちに疎開を必要とする程の放射線量を示していますが、政府は措置を致しませんでした。
子どもたちの食の安全に関しても
「巨大な限度値以下は安全だから食べなさい」と内部被曝をするに任せる措置を取りました。
 
此処に、子どもたちの内部被曝が深刻に進行していることを論じ、
政府による好適な被曝回避措置が速やかに行われるために意見書を提出します。

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全24ページに及ぶ意見書です。
ものすごく詳しく内部被曝の危険性について記されています
画像クリックでファイルが開きますので、是非ご覧ください。

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こちらのリンクも添付しておきます
平成23(ヨ)第29号 仮処分命令申立事件
債権者  A1 ほか13名
債務者  郡山市
債権者最終準備書面2011年 9月 9日
福島地方裁判所郡山支部  御 中


第1、はじめに
 本件申立で問われている問題は、表向きどのような理屈を取ろうが、畢竟、それは未来ある子供の命を取るのか、それともお金を取るのかという価値判断に帰着する。
 しかも、本件は低線量(低レベル)放射線の被ばくの問題である。そのため、今ここですぐに命の危険が明らかにされる訳ではない。その上、我々の日常感覚を通じては低線量放射線の危険を察知することもできない。低線量被ばくのメカニズを目で見ることもできない。まさに、「放射能は見えない、臭わない、味もしない、理想的な毒」(「人間と環境への低レベル放射能の脅威」の著者アーネスト・スターングラス博士)である。
 その結果、放射能のこの特質に目をつむるとき、そこまでお金(財政的負担)をかけて避難することはないのではないか、という判断に傾くことは容易である。しかし、これは「目をつむれば世界は消える」と思う虚偽の判断にほかならない。その行為は、現実から目を背けて無実の子供らの命を奪うという意味で、32年前、低線量放射線被ばくの研究で知られる「人間と放射線」の著書ジョン・ゴフマン博士が指摘した次の言葉通り、「殺人そのもの」である。
《私は、自分がこれらの活動への警告をもっと何年も前に発するために努力しなかったという過ちを、正当化することはまったくできない。原子力の生物学的な面で訓練を受けた、少なくとも数人の科学者たちは、我々のとんでもない過失と無責任さによる人道に反する罪で、ニュールンベルグのような裁判にかけられる候補者である。今や我々は、低線量放射線のリスクを知っている。我々の罪は実験レベルではなく、殺人そのものなのである》
 福島県はいま低線量放射線被ばくの脅威にさらされている――この現実に目を向ければ、このままでは債権者らをはじめとする福島県の子供たちに、将来、深刻な放射線の健康被害が発生することは確実である。
 本書面では、低線量放射線被ばくの原点に帰って、現在、債権者らが置かれている危険な状態という現実を主張・立証するものである

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そして、東京新聞の記事です。

土壌汚染 福島市・郡山市の深刻度 矢ヶ崎克馬・琉球大名誉教授に聞く
2011年9月22日 東京新聞「こちら特報部」


福島第一原発事故で放射能に汚染された福島市や郡山市の土壌濃度は、
チェルノブイリ原発事故で健康被害が続出した地区に匹敵する-。ヶ
内部被ばくに詳しい矢ヶ崎克馬・琉球大名誉教授(67)は、
先月30日に文部科学省が発表した詳細な土壌汚染マップを基に両事故の汚染度を比較した。
その結果、「子どもら住民の健康被害が予想される」として、
学校疎開を含めた被ばく軽減対策を最優先に取り組むよう訴えている。 (小倉貞俊)


続きを読むに本文の書き出ししました。



チェルノブイリ110~150キロ 
健康被害地に匹敵



「福島の汚染状況は、チェルノブイリ波に深刻。つらくても、まずそれを認識してほしい」
原水爆禁止日本協議会の会議を終えた矢ヶ崎氏は、東京都内で資料の束を手に話し出した。
文科省の土壌汚染マップは、6~7月、福島第一原発から100キロ圏内の約2千2百地点で、
5カ所ずつ地表5㎝の土を採取し、放射性セシウムの濃度を分析したもの。

このうち、福島市で94地点、郡山市で118地点を測定し、
セシウム137(放射能は約30年で半減)濃度の1平方メートル当たりの平均値は、
それぞれ16万1千ベクレル、10万ベクレルだった。

矢ヶ崎氏は、この数値と、
1986年に事故が起きたチェルノブイリ原発から110~150キロ西のウクライナ・ルギヌイ地区の汚染状況とが
「放出された核種の成分分布の違いはあるが、酷似している」と指摘する。

同地区での放射能災害の研究は、京大原子炉実験所の今中哲二助教授が編集した
国際共同報告書で紹介されている。

同国では、汚染濃度別に三つのゾーンに区分。
ベクレル換算で、1平方メートル当たり
55万5千ベクレル以上が「移住義務」、
55万5千未満~18万5千ベクレルが「移住権利」、
8万5千未満~3万7千ベクレルが「管理強化」となる。

ここで土壌汚染マップを見ていただきたい。

PK2011092202100113_size0.jpg

福島、郡山がある「中通り」に点在する青色が1平方メートル当たり60万未満~30万ベクレルで、
一番多い群青色が30万未満~6万ベクレルの地点を示す。
ちなみに、みどりや黄、赤色はより汚染度が高い。
両市とも、ウクライナに当てはめると、「管理強化」と「移住権利」のゾーンにあてはまる。

次に「管理強化」の地点数を比べてみると、
ルギヌイ地区が85%(以下、文中は四捨五入)に対して、福島市は56%、郡山市は59%


そして「移住権利」では、同地区の13%に対して、福島市は31%、郡山市は14%と、高汚染の地点数では上回る。
ただ、汚染が比較的に低い地点は郡山市が27%と多い。

矢ヶ崎氏は
「ルギヌイ地区の健康被害を分析すれば、福島市で将来、何が起きるか予想できるはずだ。」と強調する。

甲状腺疾患 増加の懸念

では、同地区ではどんな現象が起きたのか。
まずは子どもの甲状腺への影響だ。
事故直後は、100人に1人の罹患率だった甲状腺の病気が、9年後には10人に一人までに増加。
通常は10万人当たり数人とされる甲状腺ガンは、1000人中13人にまで拡大した。
「いずれも5,6年後から発症が急増している。福島でも、必ず起こりうることだと申し上げたい」

さらに、同地区の病院の全患者に免疫力の低下や感染症の長期化などが確認され、
90~92年の死亡率を事故前の85年と比べると、
死期は男性で約15年、女性で5~8年早まっていた。


「棄民政策」やめて

内部被ばく無視の国際基準

矢ヶ崎氏は、国際放射線防護委員会(ICRP)が定める一般人の年間被ばく線量の限度
「1ミリシーベルト(自然放射線量を除く)以下」にも危惧を強めている。

同地区の管理強化ゾーンは、被ばく線量が、1.59~0.83ミリシーベルト。
つまり、ICRPの基準ライン上で多くの病気が発症していることから、
「内部被ばくを無視しており、基準自体が疑問だ」

その背景について、
「核戦略と原子力利用を推進してきた米国の存在がある」と続ける

「原発を運営する側の立場を優先させ、人の健康を後回しにしている。
日本の科学者も米に追随して、放射線の健康被害を隠ぺいする工作に加わってきた。」

チェルノブイリ事故でも同様だ。
「数々の健康被害が報告されながら、被害を極めて少なく見せようという動きがまだ主流を占めている。」

矢ヶ崎氏が典型的な例とするのは、国際原子力機関(IAEA)の依頼を受けた国際諮問委員会の報告だ。
その中では、
「住民は放射線が原因と見られる障害を受けていない。
悪いのは、放射能を怖がる精神的ストレスだ」と述べられていた。

ICRPが、「100ミリシーベルト以下では健康被害へのデータがない」との立場をとっていることや、
国がICRPの勧告に従い、年間被ばく量の限度を20ミリシーベルトにしようとしたことについて、
「到底許し難い。放射能の犠牲者を意図的に隠しながら、今も生み出している」と切り捨てた。

こうした怒りは、どこから来るのか。
長野県松本市の出身で、物理学を学ぶため広島大大学院に進学。
被爆者と接して平和への思いを深め、原爆の健康被害を認めようとしない国の姿勢に疑問を持った。
琉球大の教授だった2004年から、原爆症認定集団訴訟を支援。
内部被ばくについて、二度証言に立ち、一審、二審の19回の判決全てでの勝訴につながった。

学校疎開の訴訟を支援

矢ヶ崎氏は、今、新たな訴訟に力を貸す。
6月に郡山市の児童・生徒と親たちが、同市に学校ごと疎開する措置を求める仮処分を福島地裁郡山支部に申請。
その親たちから要望を受け、9月上旬に冒頭の内容をまとめ、意見書として提出した。

同支部は意見書を受けて、審尋内容の見直しを表明し、結審は先に延ばされた。
矢ヶ崎氏は、
「お母さん方は血のにじむような思いで暮らしている。その努力で日本の子どもたちが守られていることを、
忘れてはいけない。」と訴える。

収穫の秋を迎えた。
ウクライナでは汚染食品への警戒を怠った人も少なくない。
国は、暫定規制値を超えた食品の出荷を禁じているが、
「規制値以下ならただちに健康に影響はない」という姿勢だ。

「政府が生産者と消費者を分断させているようなもの。今の方針では被ばくし続ける」として、
矢ヶ崎氏は提言をする。
「汚染された土地の産物を売ってはいけない。
食べてもいけない。汚染食品は、政府が買い上げ、生産者の生活を保障すること」

また、田畑が汚染されたため農業を離れざるを得ない生産者には
「被災地以外の休耕田、耕作放棄地を一時的に貸すなどの仕組みもあっていいのではないか」。

今後、予測される健康被害を前に、健康制度の充実と 医療的な保障制度づくりも急務という。
「国はチェルノブイリ事故や原爆訴訟が何であったのかを受け止め、学んで改めてほしい。
このままでは、『棄民政策』といわれても仕方がない」


デスクメモ
「原発事故の対応は憲法違反。なぜ問わない」とA君は憤る。
福島県民の年間被ばく限度値は当初「20ミリシーベルト」、
自主避難者への冷淡、食品暫定規制値の高さ、情報隠し・・・
「主権在民は一体どこ?」。
主権は国民にあると日本国憲法は前文で宣言するが
「主権在官か、在政、在電の国さ」が耳に残る。(呂)
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