fc2ブログ
10.04
Tue
2011.09.30(Fri) フライデー
福島の農業セシウム汚染「放射能と共存するしかない」

img_42c2e10b7a52eb38c4e7189dea81138b260547.jpg
訪れた福島市の果物直売店でセシウムの数値を尋ねると、店主はそっと検査結果のメモ書きを見せてくれた
〔PHOTO〕結束武郎(以下同)


---肉牛・乳牛への汚染をゼロにはできない、いかに基準値内に抑えるか。
その「技術と工夫」を現地の農家・畜産家に見た

果物畑が拡がる山裾の道をドライブすると、
次々に観光果樹園や、店先に梨、桃、リンゴ、ブドウなどを並べた直売店が目に飛び込んでくる。
福島市の西側に広がる吾妻連峰の麓を走る県道5号線は、
約14kmにわたり「フルーツライン」の愛称で親しまれる観光スポットだ。

例年なら今頃は、県外のマイカーや大型観光バスが列をなし混雑する。が、今年は様相が一変した。
すれ違う車は地元の福島ナンバーばかりで、店に立ち寄る客も少ない。
ある店で車を停めると、店主が笑顔で迎え入れ、すぐに桃2個と梨1個をむいてくれた。

「今年は天候も良かったのでとても美味しいですよ。でも、観光客は9割も減った。
果物が余っても処分するのにもおカネがかかるから、店に来てくれた人には皆さんに食べてもらっているんです」

 店主はそう話しながら、
〈桃18・4ベクレル 梨17・5ベクレル ぶどう5ベクレル〉
と、記したメモを示した。

「皆さん、セシウムの数値を気にされるので、農家で行った検査結果を見せています。これは9月9日の数値。
ただ『大丈夫ですよ』と言うより、数値を伝えたほうが安心するでしょ。
国の基準は500ベクレルです。果物は一人で何㎏も食べるものじゃないし、大丈夫ですよね」

 一生懸命、そう説明するのである。




つづきは続きを読むへ





福島県産の農産物が苦しんでいる。
果物だけでなく、野菜も米も肉も牛乳も、あらゆる物が放射能汚染を疑われ、消費者離れを起こしているのだ。

福島ブランドに再生の途はないのか。本誌は25年前に原発事故を起こした
ロシア(旧ソ連)・チェルノブイリ周辺のウクライナ、ベラルーシに飛び、
放射能汚染に対する農業政策の実態を取材した。

そこで見たものは、「放射能との共存」を大前提にした農業だった。前号に続き現地ルポをお届けする。

プルシアンブルーの効果

今回、本誌が向かったのは、チェルノブイリ原発から約50km圏にある農業エリアだ。
この周辺は「中程度汚染地域」にあたる。
詳細は後述するが、原発事故直後から政府の政策で様々な除染が試みられてきた。ウクライナ人のガイドが言う。

「'86年4月の事故直後、政府は広範囲の線量マップを作りました。
高線量の放射能が確認された地域では、農業や酪農を中止。
中程度の汚染地域では、乳牛の飼育を禁じました。セシウム137などがミルクに濃縮されやすいからです。
また、汚染されていない餌を与え、家畜の体内の汚染量を下げる対策もとりました」

ロシア政府の方針は明確だった。まず、
概ね30km圏内の住民らを早急に避難させる一方、
事故発生2ヵ月後までに、牛約9万5500頭、豚約2万3000頭が殺処分された。
放棄された農場の面積は、ウクライナだけでも約5万7000haにもなったという。

「そして'86年6月からは、セシウムの汚染数値を低減させるため、
牛などの餌として牧草を使うのはやめて、放射性物質を吸収しにくいトウモロコシで飼料を作るなど、
生産段階での汚染を防止する方法を積極的に採用しました。
それでも汚染された肉牛が見つかった場合は、
ハムやソーセージ、ハンバーグなど加工食品にして出荷するように義務づけた。
汚染数値の低い肉と混ぜて加工することで濃度が薄まるからです。
牛乳に関しても、同様に加工すると放射能汚染が低くなるため、
チーズなどの乳製品に加工して出荷することが義務づけられました」(前出・ガイド)

これらが事故2~3ヵ月後から実施された対策で、'90年代になると、
「プルシアンブルー(ヘキサシアノ鉄酸塩)」という薬品が使われるようになった。
これはドイツの研究機関が開発したもので、牛に飲ませるとセシウム結合体を体外に放出する効果があるとされる。
ただ、高価なので、ウクライナの貧しい村では「粘土質のミネラル結合体」を牛に舐めさせた。
プルシアンブルーに比べると効果は低いが、セシウムを吸着して外に放出する一定の効果があるという。

セシウムなどの放射能汚染から農産物を守るために、土地の改良も行われた。
ウクライナ人の農家がこう説明する。

「表土を除くという除染方法は、農地には不適切でした。
費用が嵩む上、土壌の肥沃さを失ってしまう。しかも、
汚染土をどこかに埋めなければならず環境問題を引き起こす。
そこで、汚染された土地では、セシウムを吸収しにくい作物を育て、
やせた土地にならないように耕しながら、ゆっくりとセシウムの数値が低下していくのを待つのです。
こうした土壌処理を〝徹底改良〟と呼んでいます」

例えば、石灰を主成分とした肥料を追加することで、セシウム137、ストロンチウム90の植物移行を半減できる。
要は、放射線量を何とか基準値以内に抑えこんで、農作物を作り続けようという発想なのだ。
ベラルーシの農家に聞くと、放射能対策を隠す様子はなかった。

「検査を通過しないと出荷できないのだから、言われた通りにやってきた。いろいろ工夫してちゃんとクリアしている」

むしろ、セシウムを減らすテクニックに胸を張る。ある畜産農家もこう笑った。

「あるもの(放射能)はしかたがない。付き合っていくしかない。25年間やってきて大丈夫なんだから、問題ないさ」

流通・販売も「放射能汚染ありき」の態勢をとっている。
ウクライナでもベラルーシでも、市場やマーケットごとに「ラボ」と呼ばれる検査室が設けられているのだ。
ここには専門のスタッフが常駐し、すべての食品の汚染を検査してから販売している。

買い物中の主婦に、不安はないかと尋ねると、
「毎日検査しているんだから、心配なんかないわ。あたりまえでしょう」
と、陽気に答えた。

img_b6ae978053bd3253222dd9cf27823ea8235139.jpg
(左上)ウクライナにあるイヴァンコフ市の中央市場。地元の主婦たちが世間話をしながら買い物を楽しんでいた
(左下)市場のラボには6人の研究員が常勤し、販売される食品を検査している。左の放射能測定機にサンプルを入れ、測定を行う
(右上)ウクライナでは今でも牛は定期検査を受ける。線量が高い牛には汚染度を低減させる対策が講じられる
(右下)キノコやベリー類などの山の幸は、25年経った現在でも、基準値を超えることがある。注意を喚起するチラシが市場に貼ってあった



政府に頼らない日本の農家

福島ではどうか。
放射性セシウムに汚染された牛が見つかり騒ぎになったのは、
福島第一原発の事故から4ヵ月も経った7月のことだった。

日本では、牛の餌となる稲わらへの認識が欠如していたため、牛への放射能汚染が全国に広がってしまったのだ。
全国紙社会部記者が言う。

「福島県外の稲わらも放射能に汚染される可能性が見落とされ、
宮城県北部から流通した飼料を食べた新潟県、山形県などの牛からもセシウムが検出された。
6月に、稲わらの産地である宮城県登米市で、県と市、それに畜産農家の代表が話し合った際、
稲わらについて質問が出たのに、
県側はまったく問題にしなかったのです」

その後、国・県の対策に変化はあったのだろうか。
福島県鏡石町で、乳牛と肉牛を合わせて約150頭飼育する畜産・酪農家の菅家信也さんを訪ねた。

「肉牛は出荷前に検査しますが、場所は郡山市にある食肉流通センター1ヵ所しかない。
県内に2000以上の生産農家がいるのに、検査は1日36件しかできない。
みんな順番待ちで出荷時期が遅れてしまう。
しかも2万円ほどかかる検査費用はこっち持ち
出荷停止の間はエサ代だけで月400万円ぐらいかかった。
検査を待ってる間もどんどん牛が生まれて増えていって、エサ代が余分にかかるんです」

しかも、生産方法について具体的な指示はないのだという。
そこで菅家さんは、独自に、牛の飼料にある工夫をしている。
餌に、セシウムを吸着して排出させる性質を持つ化学飼料ゼオライトを混ぜているのだ。
ロシアのプルシアンブルーと同様の措置だ。これは、県の指導ではなく酪農家仲間からの情報で始めた。

しかし、そんなふうに工夫を重ねても福島産牛肉の値段は下がっている。
以前は1頭100万円していたものが、40万円ほど。売れても暮らしていけないという。

一方の野菜・米農家はどうか。郡山市の卸売業・熊田隆治さんが言う。

「基準値より大幅に低くても、1ベクレルでも検出されれば、もう無理です。消費者は検出ゼロを求める。
先日、郡山で『がんばろう福島』というキャンペーンがあって、スーパーに野菜が並んでいたんですが、
よく見ると他県産のものばかりだった。情けなかったよ」

稲作については、出荷品へのモニタリング(検体検査)に終始する畜産と違い、県からの生産指導があるという。
農家・藤田幸浩志さんに田を案内してもらった。

「ウチの農地は刈り入れ前に検査しましたが、セシウムはND(不検出)でした。だから米もNDだと思います。
放射線対策としては、セシウムの吸収を抑えるというカリウム資材を増やしています。
これは県からアドバイスされましたが、原発事故以降、それ以外にもいろいろ勉強しました。ゼオライトも使っています」

畜産、稲作とも各農家は、もはや政府をあてにせずに、独自に勉強して、
「放射能との共存」に向けて、試行錯誤しているようである。
冒頭に紹介した、汚染の数値を示して果物を売る取り組みもその一つと言える。
東京大学医学部附属病院准教授・中川恵一氏が言う。

「放射性物質をゼロにするのは難しい。
できるだけ下げる努力は必要ですが、現実的には、
ある程度、折り合いをつけて妥当なところまで下げるという考えが必要だと思います。
無闇に放射能汚染を恐れていては、何も始まりません」

放射能との共存。
これが、今後の日本の農業、福島ブランドを守る手立ての一つであることは、間違いないだろう。

「フライデー」2011年9月30日号より


ーーーーーー

いつも小出先生がおっしゃっているのは

「表土を除くという除染方法は、農地には不適切でした。
費用が嵩む上、土壌の肥沃さを失ってしまう。しかも、
汚染土をどこかに埋めなければならず環境問題を引き起こす。
そこで、汚染された土地では、セシウムを吸収しにくい作物を育て、
やせた土地にならないように耕しながら、ゆっくりとセシウムの数値が低下していくのを待つのです。
こうした土壌処理を〝徹底改良〟と呼んでいます」

という、ウクライナの人が言っている事なんだなって思った。


関連記事
comment 5 trackback 0
トラックバックURL
http://kiikochan.blog136.fc2.com/tb.php/933-e537ec77
トラックバック
コメント
土をはぐ除染など、ためされている除染が効果ないと聞き、ガッカリしました。
ベラルーシには学ぶところが多いと思います。気候など違うのでそのままあてはまるわけではいと思いますが、日本も参考にして欲しいです。
きーこさん、先日放射能の味が分かるとおっしゃっていましたよね、今日こんな記事を見ました。金属の味では無いですか?よかったら読んでみてください。
http://ex-skf-jp.blogspot.com/2011/06/blog-post_13.html
あと、福島で女子駅伝が予定されているそうですが、危険を指摘する専門家がいます。心配です。
http://sakuradorf.dtiblog.com/
に載っています。
うな | 2011.10.04 15:53 | 編集
小出先生の除染に対するお考えは、他の武田邦彦先生や児玉龍彦先生に比べると、すごく悲観的だと、いつも思うんだけど、
たぶんそれは、チェルノブイリ事故を研究された結果から導き出された結論なんだと思う。

オレも残念ながら、小出先生の「農地や森林の除染は不可能」って意見は、きっと間違いはないって思うけど、だからって福島の農家は諦める訳にはいかないんだから、武田先生や児玉先生の意見をよく聞いて、ウクライナの農家を見習って、なんとか創意工夫を積み重ねて福島でも何とか飲食可能な農業を開発してほしい!って思います。

もちろん、小出先生のおっしゃってるように、50代以上の日本人が、食べて福島の農家を応援することが不可欠だと思います。。。
himadarake | 2011.10.04 17:50 | 編集
ありがとうございます。
ガンダーセン氏の話しを読ませていただきました。
「最後にお話ししたいのは、「口の中に金属の味がする」という報告が日本から届いている点です。原発事故のあとで金属の味が確認されるのは今回が初めてではありません。スリーマイル島原発の近隣住民も[事故後に]金属の味を感じ、チェルノブイリ原発の近隣住民も金属の味を感じました。また、がんの放射線治療を受けた患者も金属の味を感じます。これは経験談なので科学的に測定するのはきわめて難しいのですが、今回日本で金属の味が報告されたことによって、スリーマイル島やチェルノブイリでの経験談が事実だったことが裏づけられたと思います。」
そうなのです。金属の味が口の中に何時までも残るような感じで
暫くの間味覚が良く分からなくなります。
そういう例が他にもあることが分かって嬉しいです。
感謝します。

それから、駅伝は心配です。というか、
若い女子だし、プルトニウムも発見されているのに
なぜ?と、信じられません。本当に信じられません。
どんな大人がどんな権利があってそのようなことを計画するのでしょうか?
もし、私に10代の娘がいて駅伝の選手だったら
絶対に出さないと思います。

ki-ko | 2011.10.04 19:16 | 編集
ありがとうございます
私も、小出先生はチェルノブイリの時のことが大きく影響しているのかもと思っていました。
児玉先生、武田先生、小出先生の誰も、間違っていなくて
正しいのだと思っています。

50代の人が食べるのはまだ早い気がします
70歳で癌になるのはまだ早い・・
60過ぎれば食べてもいいかな・・・(。◔‸◔。)??って感じかな??
ki-ko | 2011.10.04 19:22 | 編集
放射能って金属の味がするんだね。知らなかった(>_<)。
今度汚染可能性の高いものを食べる時は、金属の味がするかどうか、よく噛みしめながら食べるようにするよ。

でもオレは少々金属の味がしても食べ続けるつもりだよ。
だってオレは50代とは言っても、58歳だから、20年後は78になるから、癌のなってもいいかな?って思ってるから。

オレは小出先生の福島の第一次産業を守るための、食物50禁、60禁制限は正しいって思うし、

武藤類子さんの
   <<私たちは 静かに怒る 東北の鬼になった!>>
って言葉を思い出すたびに目頭が熱くなるから。。。

幸い日本の人口の最多世代は、60代の団塊の世代なんだよ。
確かにオレも50代前半の人は、さすがに早すぎるかも。。。って思うけど、団塊の世代(60代半ば)は、原発大国=経済日本の高度成長を牽引した世代なんだから、進んで<汚染食物>を食べるべき!って思います。

でもキーコちゃんやもっと若い世代の人は絶対に、そんな味がするものは食べないでね!!!
小出先生だって、絶対にあなたたちに、そんなことは望んじゃいないって思います。

それにしても、こんな時期に、福島でマラソン大会だなんて、考えられない!!!
日本人は3・11以来みんな頭がおかしくなっちゃったんだろうか???

たぶん、このブログを見てる人たちの≪常識≫(たぶんそれは世界の常識だと思う)は
日本の≪非常識≫なんだろうね。
 
日本の≪非常識≫が改まる日まで、キーコちゃんはこのブログを頑張って続けてね!
オレはいつまでもキーコちゃんを応援します!!!
himadarake | 2011.10.04 23:44 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top