※この番組は、2022年3月5日(チェルノブイリ原発電源喪失前)に収録しました。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う大きなリスクの一つに核の問題があります。
チェルノブイリ原発は真っ先にロシア軍の統制化になり、ザポリージャ原発がロシア軍の攻撃を受けた模様です。
原子力発電と核保有・核戦争との関係について、私たちは今無知でいる訳にはいきません。
「チェルノブイリ占拠、ザポリージャ原発爆撃についての緊急提言」と題して小出先生のお話をお聞きしたい。
チェルノブイリ原発・ザポリージャ原発の現状
西谷:
3月4日、ロシア軍がヨーロッパ最大級のザポリージャ原発を爆撃したもようです。
現地では火災が発生して、今は鎮火しているという情報も入っているんですけれども、放射能は今どうなっているんでしょうか?
小出:
IAEAの一番新しい報道によると、「放射能の放出は無い」ということになっています。
ミサイルを撃ち込まれたようなんですけれど、撃ち込まれた場所は原子力建屋とかというエリアではなくて、いわゆる訓練施設があった場所で、「そこの建物が燃えた」ということだとIAEAは言っていますし、「原子炉そのものには影響はない」ということに今はなっています。
西谷:
それを聞いてちょっとホッとするんですけれども、ズバリ聞きますが、ロシア軍ガ今支配下に置いているということのようなんですけれども、原発作業員の方がおられますよね?この方々がもしおられなくなると、誰も作業する人がいなくなりますよね?
小出:
原発を安全に維持しようと思うと、実際にその現場で関わっていた作業員以外には多分できないと思います。
ですからウクライナでザポリージャ原発を維持すしてきた労働者たちがそのままそこに留まって作業してくれない限りは、原発が危険な方向に行ってしまうと思いますが、IAEAが言っていることによると「確かにロシアに占拠はされたけれども、元々その発電所にいた作業員が運転に当たっている」と、そういう情報になっています。
西谷:
例えばロシア軍が「俺たちがやる」なんていうことは絶対に無理なんですね?
小出:
元々これはロシアが造った原子炉なんです。VVERというロシア型の加圧水型炉という原子炉で、元々ロシアが設計図を書いて造った原発ですから、もちろん基本的なことを知っている技術者はたくさんいると思いますけれども、でも、それぞれの発電所の現場というのは、それぞれ個性がありますので、きちっと運転に当たっていた人がやらなければ危険な状況になると思います。
ただ、ザポリージェ原発で動いているのは4号機という原発1基だけで、それも60%の出力で動かしているということですので、私としてはできればもう、停止してほしいと思っています。
ただ、ウクライナの電力の20%はザポリージャ原発から供給していたということですから、簡単に停止してしまうと今度はウクライナのライフラインが奪われてしまいますので、なんとか安全に動かしていてほしいと、私自身は思っています。
ただロシアがこの原発を占領したということは、ウクライナのライフラインを締め上げるというそういう意味かもしれませんし、そうなれば早期に停止させられてしまうだろうと思います。
そうしていただければ、むしろ私としては原発の安全という意味では有り難いことだと思いますけれども、ウクライナの人々は電力にこまるだろうなと思います。
西谷:
目的ですよね、ロシア軍はチェルノブイリも占拠したし、今回この原発も狙った。
これは何の目的?やっぱりライフラインの締め上げですか?
小出:
チェルノブイリ原発はロシアがウクライナに攻め込んだその日のうちにもう占拠されています。
チェルノブイリ原発には4基の原発があったのですが、すでに2000年には全部運転停止をしてしまっていて、要するに価値の無いと言いますか、核のゴミはありますけれども、そこを占拠することでロシアへのメリットは無いと私は思います。
なぜやったかといえば、ウクライナからキエフに侵攻するときの通り道なんです。
進軍するにあたってそこを通るしかない状態でしかなかったと、チェルノブイリについては思います。
ザポリージャを占拠した理由というのは、ウクライナとロシアは今戦争している訳ですし、敵国のインフラを破壊するということは、、軍事的な常道だと私は思いますので、そうなんだろうと思っていました。
西谷:
ベラルーシからキエフに攻めていくときにチェルノブイリが通り道だからそこを占拠したけれども、ザポリージャの場合はウクライナの人たちの生活をまずは破壊しないとウクライナは降参しないので、ということなんですね。
小出:
多分私はそうだろうと思ってきましたし、そう思っていますが、どうもまだ4号機の運転が続いているようですので、んー、どういう思惑なのかな?と、今首を捻っているところです。
なぜ再稼働
西谷:
ウクライナも日本と同様のチェルノブイリ事故がありましたよね。
しかし、15基の原発を持っているということは再稼働をさせている訳ですよね。
これはなんでこんなことになったんでしょう?
小出:
西谷さんも今おっしゃってくださったけれども、ウクライナという国、まだソ連という国があった頃ですけれども、ウクライナ国内にあったチェルノブイリ原子力発電所は事故を起こしました。
大量の被曝をして、汚染地帯が広大にできたわけですけれども、それでもウクライナは「原発を動かし続ける」という、そういう選択をしたのです。
それは、日本が福島事故を起こしながらなおかつ原発にしがみ続けるという構図とよく似ているなと私は思いますし、原子力産業、原子力マフィアと私は呼んでいますけれども、そういう人たちが根深く残っているんだろうと思います。
西谷:
やはりウクライナにも巨大な利権があって、そこにマフィア達が群がっているということですか?
小出:
はい、多分そうだろうと思います。
ウクライナの研究者方
西谷:
ちょっと話は変わりますけど、3・11からもうすぐ11年なんですけれども、小出先生達は3・11の日、ちょうどその日にウクライナから研究者を呼んで学習会をされようとしていたと聞いております。
ということは、ウクライナの研究者さん達と交流があると思うんですが、その研究者さん達は今、ご無事なんですか?
小出:
ウクライナの研究者、あるいはベラルーシの研究者とは、私の同僚の今中さんがずっと親密にコンタクトを続けてきてくれました。
今回のウクライナへのロシアの武力攻撃というものがあったときに、今中さんがすぐにウクライナの二人の、特に親密に連絡を取ってきた研究者がいるのですが、その二人に連絡を取ったところ、一人とはすぐに連絡が取れたと。
キエフにいるけれども、爆発音は聞こえるけれども、まだ連絡が取れるというそういう状態だったようです。
もう一人の人は、ウクライナの役人というような専門家ですけれども、役人に近い人で、その人とは連絡が取れていない、ということでした。
彼はウクライナ人として、ロシアに対してかなり敵視を昔から持っていた人で、「ロシアが攻めてきたらこうするんだ」というようなことを私自身も聞いたことがありますし、ひょっとすると危険な場所にいるのではないかと心配しています。
西谷:
そういう政府系の方だと、もしかしたらロシア軍が狙っている可能性もありますよね。
小出:
ありますね。今現在のところだとまだキエフまでロシア軍は到達していないようですから、無事でいてほしいと思いますけれども、危険な立場だと思います。
核の共有
西谷:
そういう緊迫した状況なんですけれども、本当に許せないのはプーチンが核攻撃を示唆したり、「ロシアは核を持っているぞ」と脅かしたりしている訳ですよね。
これをきっかけに「日本も核を共有するべきだ」と、安倍晋三という人とか橋下徹という人が言い出しているんですけど、これ、先生はどう思われますか?この議論について。
小出:
呆れた人たちだなぁと思います。
戦争をやれば、いわゆる庶民が本当に苦しみを味わなければならないわけで、一番大切なことは「戦争そのものをやめさせる」ということだと思います。
プーチンさんもずいぶん悪いことをしているなと私は思いますし、ロシアにはウクライナへの武力攻撃ということは許すべからざる犯罪だと私は思います。
ただし、だからとはいって反撃するための武力が必要であるとか、こっちも核攻撃の準備をしようだとか、そんなことを言ったらどんどんエスカレートしていってしまう訳です。
今回のロシアの愚かな攻撃を受けて私たちが本当にやらなければいけないことは、「どうすれば戦争そのものを廃絶できるか?」ということですし、本当であれば国家が軍隊を持つということ、そのことを廃止しなければいけないということなのだと私は思います。
西谷:
せっかく日本は憲法9条という、平和国家を宣言しているのですから、本来こんなことを言う政治家を当選させたらダメですよね。
小出:
日本国憲法というのは先の苦い戦争の経験を踏まえて「国家として軍隊は持たない」と「戦争はしない」という建前で書かれたわけで、私はその憲法の精神は素晴らしいと思うし、そうしなければいけないのだと思います。
でも、この日本という国はずっと、またなんとか大きな軍隊を持ちたいと思い続けてきたし、安倍さんなんかはその筆頭で核兵器を持ちたいと思ってきたわけで、その人たちを排除できるような力を民衆が持たなければいけないのだと思います。
福島原発事から11年経って
西谷:
そんな安倍さんが原発をすすめてきて、政権を8年近く持ったわけですけれども、福島事故から11年、そして今ウクライナの原発が危ないという状況になっています。
先生から見てこの11年間はどう見えますか?
小出:
ウクライナというところで今戦争が起きているわけですけれども、私はウクライナがチェルノブイリ原発事故の教訓をきちっと汲み取ることができなかったから今こういう危機になっているというふうに見えますし、日本という国も福島事故を起こしながら、人々を汚染地に捨てて、被曝させながら、原子力緊急事態宣言なるものを11年経っても解除できないという状態を続けているわけですね。
あまりにも愚かな国だなと思いますし、人間自身が愚かなのかな、目先の自分の利益だけしか見えないのかな、と、いささか悲しく思ってしまいます。
西谷:
そういう人もいる中で、すぐにロシア大使館でデモしたり、地域で戦争反対の声を上げている人もおられますので、そう捨てたもんでも無いな、と思うところもありますよね。
小出:
はい、ありがたいことだと思います。
私も3月3日には毎月3日恒例のスタンディングというのを松本の駅前でやっていますけれども、それにも今回35人ぐらいの方々が自主的に集まってきてくださって、それぞれの方がウクライナへの進行に抗議するプラカードを持っていたり、私自身は「原発即刻全廃・戦争一切禁止」とポスターに書いて立ちましたけれども、それぞれの人が自分の意思を発信しに一緒に立ってくれるという状況もありますのでありがたいことだと思いますし、希望はやはり捨てないでいこうと思います。
西谷:
小出さんありがとうございました。
2022年3月16日23時36分頃

地震がありました。
福島第一原子力発電所1号機〜3号機のダストモニタ、排水路モニタからの放射能レベルが上昇!
福島第二原子力発電所では外部電源が一部喪失しています。
女川原発、福島第二原発では燃料プールのポンプがそれぞれ一時停止しました。
関東から東北方面での原子力施設の多さに改めて恐ろしさを感じています。
原子力規制委員会型のメールより
◎緊急情報 異常無し(第7報)福島県沖で発生した地震の影響
原子力規制委員会 info@kinkyu.nsr.go.jp pa.e-kakushin.com 経由 4:09 (2 時間前)
原子力規制委員会・内閣府原子力事故合同警戒本部
※今後、特に異常情報がない限り、本報をもって最終報とします。
福島県沖を震源とする地震による被害情報について
(第3報:令和4年3月17日3時00分現在)
2 【原子力施設の状況】
令和4年3月17日
00:38 女川原子力発電所、福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所のパラメータに異常なし
01:20 (女川原子力発電所)
1号機燃料プールのポンプが一時停止したが、0:29復旧済み
(福島第一原子力発電所)
5号機タービン建屋火災警報発報:現場確認中
(福島第二原子力発電所)
1号機燃料プール冷却ポンプ停止(ただし時間的余裕あり)
3号機燃料プール冷却ポンプは00:22に復旧済み
00:52現在、2,3,4号機で出ていた火報について、事業者が現場確認中。
01:22 (福島第一原子力発電所)
5号機タービン建屋火災警報発報について現場確認し、炎・煙なしを確認
01:43 (福島第二原子力発電所)
1号機燃料プール冷却ポンプが復旧
02:13 (福島第二原子力発電所)
2,3,4号機で出ていた火報 すべて誤報であることを事業者確認。
高台12m盤の火報は確認中。
02:39 (福島第二原子力発電所)
高台12m盤の火報は誤報であることを事業者確認。文字色
緊急情報 異常なし(第5報)福島県沖で発生した地震の影響
原子力規制委員会 info@kinkyu.nsr.go.jp pa.e-kakushin.com 経由2:34 (3 時間前)
03月16日23時36分頃に福島県沖で発生した地震による原子力施設への影響について、お知らせします。(2時5分現在)
1.原子力発電所
<東北電力・東通(BWR)>
青森県:最大震度5弱
東通村:震度4
1号機:停止中(定検)
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<東北電力・女川(BWR)>
宮城県:最大震度6強
石巻市:震度6弱
女川町:震度5強
1号機:廃止措置中
2号機:停止中(定検)
3号機:停止中(定検)
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
1号機燃料プールのポンプが一時停止したが、0:29復旧済み
<東京電力・福島第一(BWR)>
福島県:最大震度6強
大熊町:震度6弱
双葉町:震度6弱
1号機:廃止に向けた措置中
2号機:廃止に向けた措置中
3号機:廃止に向けた措置中
4号機:廃止に向けた措置中
5号機:廃止に向けた措置中
6号機:廃止に向けた措置中
○5号機タービン建屋火災警報、発報:現場で異常なしを確認済み
○プラントパラメータ:1号から3号のダストモニタで上昇を確認したが、現在は低下傾向中。(警報値以下での変動)
(0:50までの変化)
1号海側:5×10E-6 → 1.2×10E-5Bq/cm3
2号西側:5×10E-6 → 1.5×10E-5Bq/cm3
3号海側:5×10E-6 → 2.2×10E-5Bq/cm3
○排水路のモニタで放射線レベルの上昇を確認(60→230Bq/cm3)(1:00)に上昇したが、現在は下降傾向中。(警報値以下での変動)
<東京電力・福島第二(BWR)>
福島県:最大震度6強
楢葉町:震度6弱
富岡町:震度6弱
1号機:廃止措置中
2号機:廃止措置中
3号機:廃止措置中
4号機:廃止措置中
○外部電源富岡線2号喪失、他の3線(富岡1号、岩井戸1・2号)は健全
<日本原電・東海(ガス冷却炉)>
茨城県:最大震度5弱
日立市(隣接):震度5弱
東海村:震度5弱
廃止措置中
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<日本原電・東海第二(BWR)>
茨城県:最大震度5弱
日立市(隣接):震度5弱
東海村:震度5弱
停止中(定検)
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<東京電力・柏崎刈羽(BWR)>
新潟県:最大震度5弱
柏崎市:震度3
刈羽村:震度4
1号機:停止中(定検)
2号機:停止中(定検)
3号機:停止中(定検)
4号機:停止中(定検)
5号機:停止中(定検)
6号機:停止中(定検)
7号機:停止中(定検)
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
2.サイクル施設
<原燃・六ヶ所(再処理)>
青森県:最大震度5弱
六ヶ所村:震度3
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<原燃・六ヶ所(濃縮)>
青森県:最大震度5弱
六ヶ所村:震度3
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<原燃・六ヶ所(埋設)>
青森県:最大震度5弱
六ヶ所村:震度3
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<JAEA・核燃料サイクル工学研究所(再処理)>
茨城県:最大震度5弱
日立市(隣接):震度5弱
東海村:震度5弱
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<原子燃料工業・東海(加工)>
茨城県:最大震度5弱
ひたちなか市(隣接):震度5弱
東海村:震度5弱
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<三菱原子燃料(加工)>
茨城県:最大震度5弱
那珂市:震度5弱
東海村:震度5弱
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
3.試験研究炉施設
<JAEA・原子力科学研究所>
茨城県:最大震度5弱
日立市(隣接):震度5弱
東海村:震度5弱
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<東京大学・弥生>
茨城県:最大震度5弱
日立市(隣接):震度5弱
東海村:震度5弱
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<東芝・原子力技術研究所>
神奈川県:最大震度4
川崎川崎区:震度4
川崎幸区:震度3
川崎中原区:震度4
川崎高津区:震度3
川崎多摩区:震度3
川崎宮前区:震度4
川崎麻生区:震度3
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
4.使用・貯蔵施設
<核物質管理センター・六ヶ所>
青森県:最大震度5弱
六ヶ所村:震度3
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<JAEA・大洗研究開発センター>
茨城県:最大震度5弱
大洗町:震度3
鉾田市:震度4
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<核物質管理センター・東海>
茨城県:最大震度5弱
日立市(隣接):震度5弱
東海村:震度5弱
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<MHI原子力研究開発>
茨城県:最大震度5弱
那珂市(隣接):震度5弱
東海村:震度5弱
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
<日本核燃料開発>
茨城県:最大震度5弱
大洗町:震度3
鉾田市(隣接):震度4
○プラントの状態、排気筒モニタ、モニタリングポスト:(異常なし)
主催:脱原発信州ネットワーク・松本 @花時計公園
9分ごろ〜
問題は福島だけでもありません。
今、ウクライナという街ではロシアによってミサイルが降ってくる、爆弾が降ってくるという状態になってしまっています。
そこにある原発も危機にさらされているという状態になっています。
全くひどい蛮行だと私は思います。
でも、それを見て日本の国、あるいはその周辺にいる人たちはなんて言っているか?というと、
「ホラ見ろ、敵が攻めてきたら大変だ」と、
「だから軍備を強化しなければいけない」
「日米安保を強化しなければいけない」
安倍さんに至っては「核のシェアリングをしよう」というようなことまで言いだすような始末になっています。
しかし、私たちが本当に学ばなければいけないことは、戦争を拡大する、軍備を拡大するということとは違います。
「戦争をいかにしてなくせるか」という方向にこそ、私たちの力を向けていかなければいけないのだと私は思います。
今、ロシアがウクライナに対して行なっている武力攻撃、全く許し難いことだと私は思います。
しかし、ロシアがそこまで追い込まれたということは長い歴史があります。
先の戦争の後冷戦が続いていたわけですけれども、
西側NATO、東側ワルシャワ条約機構というのを作って、お互いに敵対してきました。
しかし、ワルシャワ条約機構はもうすでに崩壊しています。
NATOだけが残ったわけですけれども、そのNATOは次々と拡大をしていってロシアに圧力をかけるというようなことをやってきた。
その末に今日のことが起きています。
本当なら、NATOなんという組織はとうの昔に解体しなければいけなかった組織だと、私は思います。
それをしないでここまできてしまったということが、今世紀に入ってもまだ戦争を根絶できないということの原因になっています。
この日本という国は憲法9条というのを作りました。
本当に悲惨な戦争の犠牲の上にようやく掴み取った憲法です。
「戦争なんかもうしない」と、「軍隊は持たない」ということをことをようやくにして気が付いて掴み取った憲法です。
それを今、私たちがもう一度思い返して、
「戦争をしない」「国家の軍隊なんてものは持たない」という方向で動かなければいけないと思います。
”原発を止める”ということも大切ですし、”この世界から軍隊を無くしていく”ということも私は大切だと思います。
今日ここにお集まりの皆さんは、おそらく私と同じように考えてくださる皆さんだと思います。
まだまだ力の弱い集団ですけれども、諦めることなく戦っていきたいと思います。
今日はありがとうございました。
チェルノブイリ原発が電源喪失 元職員「放射性物質が放出の恐れ」
2022年3月10日 6時16分
ウクライナ政府はロシア軍によって制圧されたチェルノブイリ原発が電源を喪失したと明らかにしました。
クレバ外相が9日に明らかにしたものでチェルノブイリ原発に電力を供給する送電網が破壊されたということです。予備電源で48時間は電源供給ができますが、施設内で保管している使用済み核燃料の冷却ができなくなるおそれもあるということです。
チェルノブイリ原発の元職員 サイモンさん
「冷却ができなくなれば、(使用済み核燃料の)温度が高くなり、水蒸気が放出されます。高レベルの放射性物質を含んでいます」
ウクライナ西部に避難している元職員の男性はJNNの取材に、「核燃料の冷却ができない場合放射性物質が広範囲に拡大するおそれがある」と訴えました。一方、IAEA=国際原子力機関は、電源供給が失われても冷却システムには問題はないとしています。
【チェルノブイリ原発】福島第一原発の状況と似ている? 専門家解説
日本テレビ2022年3月9日放送「news zero」より
ロシア軍によって制圧されたウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で9日、電力の供給が停止したことが明らかになりました。放射性物質が大気に拡散される恐れもあり、“最悪のケース”はどういう状況が考えられるのでしょうか。専門家に話を聞きました。
◇
有働由美子キャスター
「ウクライナには原発が4か所、15基あります。閉鎖しているチェルノブイリ原発はロシア軍が先月24日に占拠していました。さらに、今月4日には、ヨーロッパ最大規模のザポリージャ原発が攻撃を受けて、占拠されています」
有働
「チェルノブイリ原発で、外からの電力の供給がストップしたという情報が入っています。IAEA(=国際原子力機関)は9日深夜、『安全性に重大な影響はない』と明らかにしました。鈴木さんはどう見ますか?」

長崎大学・鈴木達治郎教授
「もし、今、IAEAがそう言ったとしたら、現地の方々と連絡がとれたのかもしれません。そうでなかった場合でも、おそらく、すぐに重大な事故につながる可能性が少ないと判断したのかもしれません」
有働
「ウクライナはバックアップの非常用ディーゼル発電機があり、48時間使えるとしています。それ以上に停電が長引いた場合、どのような恐れがありますか」
鈴木教授
「原子炉はもう全部止まっていますが、使用済み燃料がプールに入っています。そのプールが冷却できなくなりますと、次第に水の温度が上がっていって、いずれ燃料が露出する。それによって、放射性物質が大気に拡散される恐れがあるということです」
有働
「大気に拡散される恐れがあるというのは、最悪のケースはどういう状況が考えられるのでしょうか」
鈴木教授
「最悪のケースは、どういう原因かまだよくわかりません。もし、意図的に電源喪失させたり、あるいは、作業員の復旧作業を妨害するようなことがあれば、例えば、プールを損壊させたり、水を抜いたりして、冷却能力を意図的に落とす恐れがあります。その場合は、非常に短期に使用済み燃料が露出して、大量の放射性物質が大気に拡散される恐れがあります」
「これは、福島第一原発の4号機の状況とほぼ似ています。あの時は、水が入っていたので良かったのですが、状況がわかるまでは、水が無くなってしまったと(仮定)すると、東京も含めかなり広範囲に放射性物質が拡散されるという恐れがありました」

有働
「チェルノブイリ原発は首都・キエフから110キロ、国境からは16キロということです。先生は先ほど『大量に』とおっしゃいましたが、広い範囲のおそれもあるということでしょうか。そうならないためには、何が大事になってきますか?」
鈴木教授
「まずは、電源復旧ですね。48時間以内に電源復旧ができるかどうかが鍵になります。それから、作業員の活動が自由にできているかどうか。これをもし、ロシア軍が阻害するようなことがあれば、いずれそのうちに、他のことで障害が出るかもしれません。この2つが鍵になると思います」
◇

有働
「9日時点でのウクライナの原発などの状況をここで整理したいと思います。小栗さん」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「ウクライナではロシア軍によって、今問題のチェルノブイリ原発、ザポリージャ原発が占拠されました。また、ウクライナの原子力規制当局は6日、『東部・ハリコフにある核物質を扱う研究施設が、ロシア軍の砲撃を受けた』と発表しました。さらに、『ウクライナ国内第2の規模の南ウクライナ原発に向けても、進軍しているのでは』という情報があります」
小栗
「核政策に詳しい一橋大学大学院・秋山信将教授は、ロシア軍が原発を攻撃する狙いについて、次の3つを主にあげています」
・エネルギー供給源支配下に
・“侵攻の障害”施設を管理下に
・“原発さえ標的”恐怖心をあおる
小栗
「また、ロシアは、『ウクライナが核開発を行っていた』と架空のシナリオを作りだして、『軍事侵攻の正当性を作ろうとしている』という見方もあります」
有働
「この状況を、辻さんはどういうふうにご覧になっていますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「原発で何かが起きているだけで、現地の方は不安が大きいと思います。さらに、ロシア軍が制圧しているとなると、復旧の作業も進むのかという恐怖も大きいと思います。どんなロジックがたとえあったとしても、絶対にあってはいけないことだと思います」
◇
有働
「鈴木さん、今後チェルノブイリについて、警戒しておくべきことは何でしょうか?」
鈴木教授
「ロシア軍の意図がよくわからないですが、作業員がちゃんと作業できるように、ロシアがそういう方向で動いてくれれば、いいですけど。そのためにも、IAEAが直接、ウクライナの作業員の方々と連絡をとって、状況を把握することが大事だと思います」
(2022年3月9日放送「news zero」より)
主催:脱原発信州ネットワーク・松本 @花時計公園
5分13秒〜
原発の敷地の中でも大変です。
今や130万トンもの放射性汚染水が敷地の中に溜まってしまっています。
愚かにも人間が作った放射能です。
その放射能を人間には消す力がありません。
しかし、人間に力がないのと同じように自然にも放射能を消す力はないのです。
自分に力がないからと言って自然に放射能を流してしまうというようなことは、はじめから間違えています。
なんとか閉じ込めなければいけないのですけれども、
残念なことに人間の手では絶対に閉じ込めることが出来ないという放射能も存在しています。
皆さんもお聞きになったことがあるかもしれませんがトリチウムという名前の放射能です。
”水素の同位体”と言って、水素なんですけれども、
残念ながら人間がどんなに手を加えても捕まえることが、出来ません。
そこで、国と東京電力は「それを海に流してしまおう」と言っています。
そんなことは本当はしてはいけないんです。
今げん在1000基ものタンクを作ってそれを貯めていますけれども、
まだまだタンクを増設する敷地は残っています。
また、場合によっては地下に圧入するという方法だってあります。
様々な方法があるのですけれども、
でも、国と東京電力は「トリチウムを含んだ放射能汚染水を海に流す」と言っています。
なぜ彼れらは、そう言い続けなければならないのかということには理由があります。
福島の事故で溶け落ちた炉心、燃料は250トンです。
膨大なものではありますけれども、250トンです。
その中に含まれていた放射のをどうするか?ということが問題になっているのですけれども、
もし、事故がなかったとしたならば、その燃料はどうなったのか?というと、
やがて、青森県六ケ所村に建設中の再処理工場に送られる予定になっていました。
その再処理工場というのは、
”長崎原爆の材料であるプルトニウムを取り出す”ということを唯一の目的とした工場ですが、
そこで作業をすると、”出てきたトリチウムは全量が海に流される”という計画になっています。
「捕まえることができないから、もうとにかく海に流す」ということが日本の国の方針でした。
そしてその六ヶ所再処理工場では”1年間に800トンの燃料を処理する”という、そういう計画だったのです。
800トンの燃料に含まれるトリチウムを海に流しても、
「何のこともない、安全なんだ」と言って許可をした国が、この日本です。
その国にとっては、今福島で問題になっている「250トン分の死の灰なんて何でもない」と、そういうことになってしまっているのです。
途方も無い国だと、私は思います。
でも、福島の今の汚染水の問題というのは「日本の原子力をどうするのか?」という使命を決する問題でもあります。
私たちが本当に心して戦わなければ防ぐことができないという瀬戸際にあるのだと思います。
ートリチウムが人体に与える影響 放医研実験結果などー
トリチウムの危険性について原子力推進サイトが記載していた
トリチウム海洋放出か!?〜生命体へのトリチウムの影響〜4/20原子力規制委員会文字起こし
トリチウムによる染色体異常~ヒト培養リンパ球での実験結果~
<両棲類と哺乳類のトリチウム取り込み比較>「トリチウム水投与後10日目では脂肪組織に最も多く、 次いで脳、睾丸、肝の順」放射線医学総合研究(内容書き出し)
トリチウム水の魚卵発生に及ぼす影響~「孵化稚魚の眼径は有意に小さい」放射線医学総合研究所資料集(書き出し)
<トリチウムの動向ー動物系>数時間で全身にほぼ一様に拡散分布 /脂肪組織、脳、筋肉に高いトリチウム残留(放射線医学総合研究所資料集書き出し)
<トリチウムの動向ー植物>部位によるトリチウ摂取量の違い/トリチウム水蒸気の葉からの取り込み(放射線医学総合研究所資料集書き出し)
フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に! 全く報道されない「トリチウム」の危険性(ダイヤモンド社より)
<福島第一原発>タンクに入っている地上の汚染水〜トリチウムの処分方法「薄めて海洋へ放出or地下深くに注入して地下水として」2015年4/13 NHKラジオ 後半(文字起こし)
トリチウム関係ブログまとめ
主催:脱原発信州ネットワーク・松本 @花時計公園
40秒〜
ただ、covid-19についての緊急事態宣言等は出されたり取り消されたりしてきました。
でも、ここに集まってくださっている方々はご存知だろうと思いますが、
11年前に発生した福島の事故の緊急事態宣言は11年経った今も解除できないまま、まだ続いています。
大変な放射能が放出されて、大変な人々が今だに苦しみ続けているという状態が続いています。
広島原爆に換算すれば、168発分、というような膨大な死の灰が吹き出してきました。
たくさんの人たちが強制的に避難をさせられました。
「避難」という言葉、今私は軽々しく使いましたけれども、わかって頂けるでしょうか?
ある日突然、手荷物だけを持って「バスに乗って逃げろ」と言われるのです。
逃げた先は体育館のような建物で、床にダンボールを敷いたりしながら過ごす、ということになりました。
あまりの辛さで、死んでいく人がたくさん出たわけですし、
自ら命を絶つという人も後を絶たないという状態が続いています。
原発関連死と呼ばれる死もすでに2000人を超えるというようなことが続いています。
でも、死んだのは人間だけではありません。
皆さんも、犬とか猫とか飼われている方もいらっしゃると思います。
でも、あの事故の時には、犬も猫も全部置いていてt逃げるしかありませんでした。
福島では酪農家、畜産家が沢山いて、牛や馬を飼っていました。
でもそれらの牛や馬も捨てて逃げるしかなかったのです。
逃げた後に「なんとか助けに行こう」と思っても、
立ち入り禁止で助けに行くこともできない。
ようやくに行った時には餓死していた、というようなことが沢山起こりました。
先ほど皆さんが歌ってくださいましたけれども、
「なんにもいらねぇ、あの日を戻してくれ」という、そういう人たちが沢山生まれてしまったのです。
つい数日前に最高裁が被害者たちが訴えた裁判に対して判決を出しました。
「東京電力に責任がある」という判決でした。
何を言っているのか、と私は思いました。
当たり前のことじゃないか、と。
東京電力どころじゃない、最悪なやつは国だ。
と、私は思いましたけれども、まだその国の犯罪すらもが断罪されていないという状態です。
賠償金は14億円だそうです。
それで、なにか、「訴えた被害者の方が勝訴した」というように報道などもなされていますが、
冗談ではない、と思います。
原告は3600人です。
一人一人にすれば40万円にしかならないんです。
生活を根こそぎ破壊されて、故郷を奪われて、「あの日に戻してくれ」と言う人たちに40万円のお金って、一体なんなんでしょうか。
驚くような国だと、私は思います。
福島原発事故、東電の賠償確定 最高裁、避難集団訴訟で初
2022年03月04日 17:25
最高裁判所
東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟のうち福島、群馬、千葉の3件で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は東電の上告を退ける決定をした。裁判官4人全員一致の結論。2日付。二審判決のうち約3600人に総額約13億9千万円の支払いを命じた部分が確定した。全国で約30件起こされた同種の集団訴訟で東電の賠償責任が確定するのは初めて。
一方、第2小法廷は3件の訴訟について、国と住民側双方の意見を聞く上告審弁論を4月にそれぞれ開くと決めた。二審判決で国の責任を巡り結論が分かれており、最高裁は判決で今年夏にも統一判断を示す見通し。
2021年4月23日 19:00 AERA

あの未曽有の事故のあと、福島第一原発で働き、白血病になった。労災認定は受けたが、被曝が原因なのか証明は難しく、裁判が続く。命をも顧みず力を尽くした作業員たちへの補償を、東電は、この国は、どう考えているのか。AERA 2021年4月26日号の記事を紹介する。
* * *
東京地裁前には50人近い支援者が集まっていた。
白血病を発症した元原発作業員の男性(46)が、原因は被曝労働だとして東京電力と九州電力を相手に損害賠償を求めた裁判。審理は5年目を迎え、4月7日のこの日は第17回の口頭弁論が行われた。
地元、北九州市の近くにある造船所で鍛冶工として働いていた男性が原発に関わったのは、2011年に起きた福島第一原発事故の直後からだ。
「原発の仕事とつながりがある建設会社を経営する従兄弟から、福島で作業員が足りないので人を集めてくれないかと頼まれました。それまで原発の仕事はしたことがありません。でも、ニュースで被災地の惨状を見ていたので、自分の技術が助けになるならと思い、友人15人を集め、家族の反対も押し切って行くことにしたのです」
元原発作業員の男性が東京電力と九州電力を相手に損害賠償を求めた裁判では支援者が集まった/4月7日、東京地裁(撮影/桐島瞬)
最初に作業をしたのは福島第二原発。タービン建屋内に水が入らないように鉄板で目張りをする水密化工事と原子炉4号機の耐震補強工事を、11年10月から翌年1月まで担当した。男性にはこのときの被曝の記録はないが、そばにいた現場監督の携帯型ポケット線量計(APD)は、ピーピーと警報音を鳴らしていた。
■41度の高熱が10日続いた、このまま死ぬのかと思った
1月半ばからは九電の玄海原発で定期点検に携わり、2カ月で4.1ミリシーベルトを被曝。その後、福島へ戻り、12年10月から第一原発の作業に入る。
「最初にやったのは4号機のカバーリング工事。放射線量が高いので被曝除けに鉛ベストを着用しないといけないのですが管理がいい加減で、1班40人ぐらいいるのに鉛ベストは20着ほどしかありません。そのせいで着ない時もありました。全面マスクの目張りが剥がれて外から汚染した空気が入ってきても、現場監督は何も言わない。3時間ほどの作業で0.3ミリシーベルト以上の被曝をした日もありました」
3号機のカバーリング工事と雑固体廃棄物焼却設備建屋の設置工事も担当するうちに被曝量は増え続け、原発での作業を終える13年12月までに15.68ミリシーベルトを被曝。18カ月の総被曝量は19.78ミリシーベルトに達した。
男性の体調にこの頃から変化が表れ始める。息苦しさを感じ、微熱とせきが続く。そういえば半年ほど前から酒にすぐ酔うようになり、目の前に靄がかかったようになったことを思い出した。年明けに地元の病院で検査を受けると急性骨髄性白血病と診断。骨髄の80%にがんが広まり、多くが末梢血にも溢れ出ていた。医師から「あと2週間発見が遅ければ全身から出血して手遅れになるところだった」と言われてすぐに入院した。「もう、普通の生活には戻れないだろう」とも告げられた。
放射線治療と抗がん剤の副作用で80キロあった体重は56キロまで減り、抵抗力が落ちたことで敗血症を併発。41度の高熱が10日続き、酸素マスクをしながら「このまま死ぬのかと思った」。その後、造血幹細胞の自家移植に成功してようやく寛解したが、8カ月の入院中、死の恐怖や将来への悲観からうつ病を発症した。
男性は最初、被曝が原因で白血病を発症するとは知らなかったが、自分の被曝量が労災認定の基準に達していることを聞き、労災を申請する。白血病の認定基準は、年間5ミリシーベルト以上の被曝があり、被曝後1年以上経ってから発生した骨髄性白血病かリンパ性白血病だ。申請から1年7カ月後に白血病が、2年2カ月後にうつ病が労災認定された。福島第一原発の収束作業に関わった作業員としては、初めての被曝による労災支給だった。
■全面マスクの隙間から、放射性物質が入る杜撰さ
労災支給を受けているのに、提訴に踏み切った理由を男性が語る。
「東電が作業員に向けたお知らせで、『福島第一で作業をして白血病になった作業員が労災認定を受けたが、厚生労働省は科学的に被ばくと健康被害との因果関係が証明されたのではないとの考え方を示している』との内容を載せていました。それを読み、怒りが込み上げてきました。事故を収束させるために被曝してまで作業したのに、病気になってもお詫びの言葉もなく、被曝の影響さえ全否定する。社員には手厚い補償をするのに、作業員は平気で切り捨てる冷たい会社であることを、世の中の人に知ってほしかったのです」
男性の代理人を務める海渡雄一弁護士は、男性は記録以上の被曝をしていたうえに、危険な内部被曝をする作業環境にあったと言う。
「全面マスクをしていても、隙間から放射性物質が入り込むような杜撰な管理の現場だった。ストロンチウムを吸い込めば、骨に沈着したうえで骨髄を傷つけて白血病になり得る。すでに労災認定もされているのに争う電力会社の姿勢は許せない」
一方、東電は裁判に関して「訴訟に関することはコメントを差し控えたい」とし、作業員への補償に関しては「労災補償制度で補償されるので、当社としては補償をしていない」と回答した。
福島第一原発などでの作業後に白血病を発症した元原発作業員の男性。自分が声を上げることでほかの作業員たちにも補償が広がることを願う(撮影/桐島瞬)
白血病は、被曝が影響しやすい血液のがんだ。大阪府済生会中津病院の血液内科部長を経て「血液内科太田クリニック・心斎橋」の院長を務める太田健介医師が話す。
「がんには放射線の影響で発症しやすいものとそうでないものがありますが、白血病は影響を受けやすい。細胞が暴露されるとDNAが傷つき、遺伝子変異を起こすことで発症すると考えられています。多くの遺伝子変異が積み重なって固形がんになるのに対し、白血病は割と少ない変異でも起こり得る。慢性骨髄性白血病のように、たった1個の遺伝子変異でがんが発症するものもあります」
とくに、内部被曝が大きな影響を及ぼす。
「放射性物質が体の組織内に組み込まれてしまうので、微量な放射線量でも被曝時間が長ければ長いほど、照射された細胞に大きなダメージを与える。あくまでも確率論ですが、影響を受けた細胞の遺伝子に傷が入れば、そこががん化することも考えられます」
その一方、がんの原因が薬物や発がん性物質などいろいろあるなかで、被曝が原因でそのがんが発症したことを証明するのは困難を極める。原因を作業中の被曝に特定しようとすればなおさらだ。厚労省は白血病の労災認定を行っているが、「労働者への補償の観点から、基準に合致すれば業務以外の要因が明らかでない限り認定する」方針とし、科学的因果関係が証明されたものではないとしている。
裁判ではこの点がポイントとなるが、海渡氏は「事実的因果関係」と「法的因果関係」は異なると話す。
「男性に他の病気は見当たらず、原発作業では記録以上の被曝をしている。白血病の発病と被曝の間には高い蓋然性があり、法的には相当因果関係があるとみるべきです」
がんの原因が被曝かどうかを証明する難しさは、労災認定件数にも表れている。
厚労省は、被曝労働で発症すると考えられる疾病を甲状腺がん、肺がん、白血病など15種類に分類。08年以降、このカテゴリーで47件の労災請求があったが、認定されたのは13件のみ。福島第一原発事故後に限ると25件の申請中、認定は6件に留まっている。1976年以降に広げても、がんで労災認定されたのは全部で19件に過ぎない。
■労災認定の過程も不透明、業務が原因か審議は非公開
認定件数がなかなか増えないのは、白血病以外の固形がんの場合、認定基準が厳しくなるのも原因だ。例えば、肺がんを認定する目安は「100ミリシーベルト以上の被曝と発症まで5年以上の時間が経過していること」となり、ハードルも高い。
認定をするかしないかを決める過程も不透明だ。被曝で病気になった労働者から労災申請があると、被曝医療や放射線防護などを専門とする6人の委員で業務上の被曝が原因かどうか検討するが、審議は非公開のため判断の過程を検証することはできない。委員に取材を申し込んだが、検討会に関することには答えられないとの回答だった。
東電は5年区切りで福島第一原発作業者の累積被曝線量を出しているが、それによると福島第一原発事故から16年3月までに同原発で放射線業務に従事した約4万7千人の平均被曝線量は12.83ミリシーベルト。その後、現在まで約2万4千人が平均6.52ミリシーベルトを被曝した。
原発に関する多くの著作があるルポライターの鎌田慧氏は、「実際にはもっと多くの収束作業員が健康被害を受けているはずだ」としてこう話す。
「がんや白血病は被曝から時間が経って症状が出るうえ、労働組合などの支えがない労働者にとって、労災申請や裁判は手間や時間がかかり、諦めてしまうケースも多い。表に出ない罹患者は相当数いるだろう。作業員を救済するには、裁判で勝ち労災認定も増やしていくことで、被曝労働者が健康被害を生じたら関連があると社会的に認知されるようにしていくことが必要だ」
(ジャーナリスト・桐島瞬)
トリチウムは放射性物質です。 放射線を出しながら、その量が減っていき、もとの量の半分になるまで にかかる時間(半減期)は約 12 年です。(12年経ってもたったの半分になるだけです><;)
トリチウムなど含む水 “海洋放出が前提” 国の地元への説明で
NHK 2020年10月16日 20時32分
東京電力 福島第一原子力発電所で増え続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水について、国は15日、福島県内の自治体を訪れ、風評対策を含めた処分方法の説明をしていたことがわかりました。地元の複数の関係者によりますと、海洋への放出が前提での説明だったということです。
福島第一原発では、汚染水を処理したあとに残るトリチウムなどの放射性物質を含む水が、およそ123万トンに上り、経済産業省の小委員会はことし2月、基準以下の濃度に薄めるなどしたうえで、海か大気中に放出する方法が現実的だとする報告書をまとめています。
これに関して経済産業省は15日、福島第一原発が立地する福島県の双葉町や大熊町などに、この水の処分について状況を説明したということです。
地元の複数の関係者によりますと、説明は海洋放出を前提としたもので、トリチウムを薄める濃度や風評被害を抑えるため、官民が参加する会議を早急に設置して、具体的な風評対策を検討することなどが示されました。
国が最終的な方針決定に向けて、これまでに7回開催してきた地元や関係団体から意見を聞く会では、海洋放出に慎重な意見が多く出されていましたが、今後、国は海洋放出の実施を軸に最終的な調整を進めるものと見られます。
福島 いわきの漁業者は…
トリチウムなどを含む水の海洋放出を前提とした説明が行われていたことが明らかになったことについて、漁業者の間では新たな風評が生じることへの懸念が広がっています。
震災のあと、3年前に漁師になったいわき市の佐藤文紀さん(30)は、祖父の代から続く漁師一家の3代目です。
現在は、試験的な漁の中で小型船に乗り、沿岸の魚や貝などの漁を手がけています。
佐藤さんは「原発事故のあと、漁の状況が徐々によくなってきていて、魚の価格も上がっているところだった」としたうえで、「海洋放出ということになれば、また風評が広まって福島の魚は避けようという人が増えてしまうのが心配です。私たちの世代やその次の世代も漁を続けられるような方法を考えてほしい」と話していました。
意見を聞く会 7回にわたり開催
福島第一原子力発電所にたまり続けるトリチウムなどを含む水の処分をめぐり、政府は方針の決定に向けてことし4月から7回にわたって地元自治体や農林水産業者、それに全国の関係団体などから意見を聞く会を開いてきました。
この中では、海や大気への放出を支持する意見もあった一方、風評被害を懸念する漁業関係者や地元住民などから海への放出に反対や慎重な意見も多く出され、このうち、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は「わが国漁業の将来にとって壊滅的な影響を与えかねない海洋放出は絶対反対である」と述べ、慎重な判断を求めていました。
また、敷地外での保管やコンクリートで固める案など、海か大気に放出する以外の選択肢について、しっかり検討されたか疑問だといった意見も出されていました。
このほか、具体的な風評被害対策を示すよう求める意見や、トリチウムの科学的性質や海外での処分状況などについて、国民の理解が進んでいないといった指摘もありました。
これまでの経緯
福島第一原子力発電所の汚染水を処理したあとには、除去しきれないトリチウムなどの放射性物質を含んだ水が残り、これをどう処分するかについて国は、2013年から7年にわたって検討を続けてきました。
まず、専門家チームによる処分方法の技術的な検討を2年半にわたって行ったあと、社会学者や風評の専門家などを交えた経済産業省の小委員会が、総合的な検討を3年余りかけて行い、おおむね6つの方法について議論を交わしました。
そして、経済産業省の小委員会はことし2月基準以下に薄めるなどして、海に放出する方法と、蒸発させて大気中に放出する方法が前例もあって現実的だとしたうえで、海の方が確実に実施できるとする報告書をまとめました。
その後、政府は、ことし4月から7回にわたって地元自治体や農林水産業者、それに全国の関係団体などから意見を聞く会を開いてきました。
この中では、漁業関係者や地元住民などから風評被害を懸念して海への放出に反対や慎重な意見が出されたほか、具体的な風評被害対策を示すよう求める声や、国民の理解が進んでいないなどの指摘が出されました。
一方で、東京電力は現行の計画では、2022年の夏ごろには敷地内のタンクが満杯になるとの見通しを示していて、福島第一原発が立地する大熊町や双葉町からは、この問題が帰還の妨げになっているとして政府に対し、対応策を早急に決定するよう要望が出されていました。
政府は、こうした意見を検討したうえで、トリチウムを含んだ水の処分の方法について、早期に方針を決める考えを示していました。
トリチウムとは
トリチウムは日本語では「三重水素」と呼ばれる放射性物質で、水素の仲間です。
宇宙から飛んでくる宇宙線などによって自然界でも生成されるため、大気中の水蒸気や雨水、海水、それに水道水にも含まれ、私たちの体内にも微量のトリチウムが存在しています。
トリチウムは、通常の原子力施設でも発生し、各国の基準に基づいて、薄めて海や大気などに放出されています。
水素の仲間で、水の一部として存在するため、水から分離して取り除くのが難しいのが特徴で、福島第一原発の汚染水から多くの放射性物質を除去する装置を使っても取り除くことができません。
国内の原発では、1リットル当たり6万ベクレルという基準以下であることを確認したうえで海に放出していて、海外でも各国で基準を定めて放出しています。
トリチウムが出す放射線はエネルギーが弱く、空気中ではおよそ5ミリしか進みません。
このため、人体への影響は外部からのものよりも体内に取り込んだときのリスクを考慮すべきとされています。
国の小委員会は、体内で一部のトリチウムがタンパク質などの有機物と結合し、濃縮するのではないかといった指摘があることについては、体はDNAを修復する機能を備えていて、動物実験や疫学研究からは、トリチウムが他の放射性物質に比べて、健康影響が大きいという事実は、認められなかったと結論づけています。
またマウスの発がん実験でも、自然界の発生頻度と同程度で原子力発電所周辺でもトリチウムが原因と見られる影響の例は見つかっていないとしています。
専門家「人体への影響 濃度の大小がポイント」
放射性物質の性質に詳しく、国の小委員会の委員をつとめた茨城大学の田内広教授は、人体への影響を考える際、濃度の大小がポイントだと指摘します。
そのうえで田内教授は、「トリチウムが体内に取り込まれてDNAを傷つけるというメカニズムは確かにあるが、DNAには修復する機能があり、紫外線やストレスなどでも壊れては修復しているのが日常。実験で、細胞への影響を見ているが基準以下の低濃度では細胞への影響はこれまで確認されていない」と話していて、低い濃度を適切に管理できていればリスクは低いとしています。
新地町の漁師「議論不足で時期尚早」
福島県新地町の漁師、小野春雄さん(68)は、おととし開かれた国の有識者会議の公聴会に参加し、トリチウムを含む水の海洋放出に反対の声を上げていました。
その後も、漁業関係者などから反対の意見が相次いで上がっているなか、国が海洋放出を前提とした説明をしていることが明らかになったことについて、議論が不足しているのではないかと、疑問と憤りを感じています。
小野さんは「全国的に海洋放出に反対の声が多くあがっているなか、風評対策などの議論も全くしないまま、海洋放出の方針で調整を進めている政府の姿勢は全く理解できない。議論不足で時期尚早だ。これまで漁業者は、9年半以上にわたって努力を積み上げ、ようやく来年4月には本格操業に向かいましょうという話も出てきた。その努力を裏切ろうとしている政府の姿勢には怒りがおさまらない」と話していました
テレビではトリチウムの危険性について具体的な発言は見られません。
しかし、福島原発事故以前にはトリチウムが人体に及ぼす影響について色々な研究がされていました。
トリチウム汚染水を海に流して本当に大丈夫なのでしょうか?
以下↓にトリチウム関連のブログをご紹介します。
ートリチウムが人体に与える影響 放医研実験結果などー
トリチウムの危険性について原子力推進サイトが記載していた
トリチウム海洋放出か!?〜生命体へのトリチウムの影響〜4/20原子力規制委員会文字起こし
トリチウムによる染色体異常~ヒト培養リンパ球での実験結果~
<両棲類と哺乳類のトリチウム取り込み比較>「トリチウム水投与後10日目では脂肪組織に最も多く、 次いで脳、睾丸、肝の順」放射線医学総合研究(内容書き出し)
トリチウム水の魚卵発生に及ぼす影響~「孵化稚魚の眼径は有意に小さい」放射線医学総合研究所資料集(書き出し)
<トリチウムの動向ー動物系>数時間で全身にほぼ一様に拡散分布 /脂肪組織、脳、筋肉に高いトリチウム残留(放射線医学総合研究所資料集書き出し)
<トリチウムの動向ー植物>部位によるトリチウ摂取量の違い/トリチウム水蒸気の葉からの取り込み(放射線医学総合研究所資料集書き出し)
フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に! 全く報道されない「トリチウム」の危険性(ダイヤモンド社より)
<福島第一原発>タンクに入っている地上の汚染水〜トリチウムの処分方法「薄めて海洋へ放出or地下深くに注入して地下水として」2015年4/13 NHKラジオ 後半(文字起こし)
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